(2/2)連続起業家(シリアル・アントレプレナー)が他業種で次々と成功し続けることができた秘密


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前回の続きで、連続起業家(シリアル・アントレプレナー)、ロジャー・フォードのインタビューをご紹介します。

前回の内容はこちらから:
http://blog.entre-s.com/173


Michael: 印刷業、ペットホテル、そして人工心臓と多岐にわたっていますが、なぜ、ざまな種類のベンチャーで成功できたのでしょうか?

Rodger: 私が最初にE-Mythを読んだとき、あなたが違う星からやってきた、私の代弁者だと感じました。私が言いたかったことをまさに書いていたのです。そこで、私は書籍の音声版をいくつも購入し、すべてのスタッフに配布しました。あなたの情熱を理解してほしかったのです。

Alpha Graphics社で、すべてのスタッフに読んでもらった本は、あなたの本が初めてです。その後に作った会社でも同じことをしました。そして、頻繁に本の内容を思い出してもらえるよう、その内容を基にして、ゲームやコンテストを行いました。

言ってみれば、あなたが私の会社を一緒に経営してくれていたようなものです。

そういった試みによって、スタッフたちは、スモールビジネスが成功する原則について、深い理解をするようになりました。そして、ひとつひとつの結果を加速させることができたのです。

Michael: その原則はどのように影響したのでしょう?たとえば、あなたが来る前、SynCardia社はどのような状況だったのでしょうか?

Rodger: 人工心臓の分野は、55年間にわたる試行錯誤の結果、完全に行き詰っていました。SynCardia社に私が入ったときにも、彼らは意気消沈していました。

人工心臓の分野でのパイオニア、ドイツのWillem Kolff博士が、1950年に始めて試作品を作りました。その後、Robert Jarvik博士がJarvik 7という商品を作り、人気になりました。

しかし、1991年、FDAが、Jarvikを使った実験を禁止してしまいました。欠陥が見つかったと報告されたからです。

※FDA・・・アメリカ食品医薬品局。日本で言う厚生労働省に属する政府機関。

SynCardia社は、2002年にJack Copeland博士のグループが作った会社です。そのグループの中には、よく知られた起業家も入っていました。

2004年10月、FDAはSynCardiaに人工心臓を使う許可を出しましたが、当時、すでにお金が尽きていました。ひとつ25,000ドルの人工心臓を年間20個売っているだけでした。
この類のビジネスをする基準に至っていなかったのです。

さらに悪いことに、SynCardiaの人工心臓は、保険の対象外にさせられていました。
当時、人工心臓は、非常に高いスキルを持った数少ない技術者だけが作ることができました。そういった人材を見つけるのも困難を極めていました。

2006年にあなたがSynCardiaに来て、チーム全体に研修をしてくれたとき、あなたは、会社がとても危険な状態にあることに驚いていましたね。そして、私たちが、信頼でき、拡張可能で、レバレッジが効く製造のシステムを導入しない限り、市場のニーズに対応できないと忠告してくれました。

当時、たくさんのお金、時間、労働を投入していたにもかかわらず、SynCardiaのシステムは、時代遅れで、最初のころよりも複雑になっていました。

Michael: そこで最初になにをしましたか?

Rodger: 私はシステムを導入することに集中しました。混乱を鎮めるためです。

仕事のやり方に基盤がない限り、いくら優秀な人材でも、彼らが個人の感覚で、正しいと思ったことをやるだけであり、その結果、混乱をきたしてしまいます。

私がSynCardiaに入ったとき、5日後にFDAが突然、査察にやってきました。それは10日間続き、何が悪いのかがわかってきました。文書管理や在庫管理、財務などのシステムが古かったのです。

そして、私たちは、総合的なITのシステムを導入しました。

システムを導入するのは簡単ではありません。悪い習慣は身につけやすいのですが、良い習慣は身に付けにくいものです。

スタッフに古い習慣を捨ててもらい、新しいシステムでのオペレーションに慣れてもらうのに、2年もかかりました。古い習慣を捨てるのも簡単ではありませんでした。

当時はとても大変な時期でした。もともといた16人のスタッフのうち、13人が離職し、新しい人に参加してもらいました。

私たちは、普通の人が類まれな成功を収めるためのシステムの基盤とプラットフォームを作るように心がけたのです。

優れた人材がビジネスに不要だと言っているわけではありません。しかし、いくら優秀な人材であっても、その優秀さは、一貫した結果を出すための仕組みの上で発揮されるべきなのです。

Michael: 人材はどのように採用したのですか?

Rodger:AlphaGraphics、 PetsHotel、SynCardia、それぞれの会社で、私はいつでも良い人材を探していました。SynCardiaでは、人材をフィルタリングする仕組みを導入しました。これはとても効果的でした。

行く先々でよい人を見つけると、SynCardiaのストーリーを伝え、面接へとつなげていきました。

人材採用のプロセスの鍵は、良い人にはすぐに提案をすること、そして、私たちに合わない人は、早く却下することです。会社にフィットし、貢献してくれる人に時間を投入することです。

Michael: チーム作りで心がけていることは?

Rodger: チーム作りは、決して終わらない作業です。良いチームを作るには、ダイナミックな社内文化が必要です。人々は、会社のさまざまなことに巻き込まれたいと感じています。彼らは違いをもたらしたいと思っています。彼らは貢献したいと思っています。

たとえば、SynCardiaでは、毎週金曜日に、チーム全員でランチをします。過去6年間、私がそれを欠席したのは数える程度だけです。ランチの場では、みんなが会社に貢献する機会を得られます。

彼らは全員意見を求められます。家族の夕食みたいなものです。
これによって、彼らは自分の取り組んでいることがどういう意味を持つのか、そして、ほかの人が何に取り組んでいるのかを理解できます。

私たちの会社では、オールを漕がない人は、いる場所がありません。私の役割は、みんながオールを漕いでいる、その船のかじ取り役です。会社のかじを取り、漕ぎ手の力加減やリズムを調整するのです。

Michael: あなたがSynCardiaに入ったとき、この会社は、科学技術のプロジェクトチームのようだと表現していましたね。

その当時、そのプロジェクトチームに過ぎなかった会社を、成功している会社へと変革させるための計画は持っていたのでしょうか?

Rodger: はい。ありました。私とパートナーは、計画を設計し、それを実行するための時間を割きました。

18ヶ月から30ヶ月くらい、計画通りに働けば、新しいCEOに会社を譲ることができると考えていました。

実際のところ、計画をスタートしてから見つかった、商品の欠陥もたくさんありました。
SynCardia社の価値を高めるための方法はシンプルでした。

私はいつも同じことをします。

社内で混乱をきたしているところを見つけ、それをシステム的に解決することです。
この点は非常に重要です。

多くの人は、簡単な解決策を見つけようとして、近道を探します。

しかし、そういった試みは後から代償を払うことになります。

それが終わったら、社内の鍵となるマネジメントの役職についており、心を共にしている人たち、そして、できれば過去に一緒に働いたことがある人で固めます。
彼らはゲームのルールを知っています。

資金面も重要でした。

一番良い資金源とは、商品を売って、すべての経費を払った後に残る現金です。
次に良いのは、関係者からの投資です。

最悪なのが借金です。

私たちが最初に集中したのは、倉庫に残っている在庫を売りさばきながら、新しい技術で、いまより拡張可能な製造の体制を築くことでした。

仕事はまだ終わってません。

現在、あの会社は株式公開するか、より大きな会社に売却する方向で動いています。
それらの仕事は新しいCEOの役割ですが、正しい方向に進んでいると思います。

優れたビジネスとは、偉大なチームメンバーによって創られるものではありません。
普通の人が非凡なことを成し遂げることによって、創られるのです。

ビジョンを達成するために必要な能力と、現在のチームメンバーの能力との差を埋めるためにシステムがあります。

もしビジネスモデルが、高い能力を持ったチームメンバーに依存していれば、それは複製ができません。

自社内にどんなシステムが必要かを知るには、顧客が何を欲しているか?という質問に戻る必要があります。

”彼らが欲していることをいかにして、システム的に提供するか?”と考えることです。


以上でインタビューは終了となります。彼がなぜ、何社も成功させることができたのか?ヒントが得られたのではないかと思います。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

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