造園業を職人型ビジネスから起業家型ビジネスへと変革させた事例


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マイケルE.ガーバーの共同著者、トニー・ベース氏とガーバーの対談記事をご紹介します。

トニー氏は、もともと造園業者でしたが、ガーバーの書籍のとおりに会社を運営し、41歳で会社を売却。その後、2つの会社を作って、同じ造園業者向けの支援事業を行っています。

そして、2011年にその実績を基にして、ガーバーと一緒に書籍を出版しました。この書籍の中では、造園業者がどうやって「起業家の視点」を取り入れ、成功するか?が書かれています。

今回の対談では、その内容の一端を紹介してくれています。

造園業者向けとはいえ、どんな業種でもまったく同じように必要な原則になっていますので、以下からどうぞご覧ください。


マイケル:
本日のゲストは私の共同著者、トニー・ベース(http://www.tonybassconsulting.com/)です。彼は起業家、投資家、コンサルタント、演説者、そして私の友人でもあります。

トニーはゼロから大きなプロジェクトをスタートし、10億円を超える利益を上げた後、41歳で会社を売却しました。また、その後、高性能な芝刈り機(=スーパー・ローン・トラック・システム)を開発し、現在ではアメリカ・カナダ国内の42州で使用されています。さらにその後、造園業者向けのトレーニングプログラムをいくつか作成し、私との共著書はもちろん、「The Money Making Secrets of a Multi-Million Dollar Landscape Contractor」も含む5冊の本を書きました。

トニー、君は会社を立ち上げてそれを売却し、また別の会社を成長させたよね。まずは概要を話してくれる?

トニー:
はい。つい先週、国内最大級の業界展示会に参加したところなんです。そこで今日の造園業は理想的な姿ではないことを話しました。何かが足りないものがあると。でもそれを豊かにできる可能性はあるということを話したんです。

まずは2つの例をお話ししましょう。

数年前、あるイベントで企業の財務戦略に関するセミナーがありました。そのセミナー参加者の中に若い男がいましてね。彼には大きな会社を立ち上げたいという夢があった。でも現実は思い通りにならず、会社をある程度成長させてから売却しました。ところが、実はその会社は売却によって十分な利益を得られるほどの大きさではなかったのです。大きな会社と呼べるほど十分な大きさではなかった。

結局、自分の家族を養えるほど大きな利益を得ることができませんでした。そしてある日、59歳の若さで肺ガンと診断されました。これまで長年造園業を経営してきたけれど、自分自身と家族を十分に養えるほどにはまだ至っていなかったのです。身を引くのが少し早すぎました。そして59歳の時点で一つ足りないものがありました。それは彼が健康保険に加入していなかったということ。健康保険がなかったことが災いして、早いうちに亡くなってしまいました。

それから30日後、別の男が僕のオフィスにやってきました。名前はバディー・ブリックハウス。彼も造園業の経営者で技術や機具に投資していました。これまでの見本市やインターネット等で僕の会社を知ってくれていました。それで僕の元を訪れた時にこんな話を聞いたんです。

当時、バディーも脚にガンがあると診断されていました。手術を受けるにあたり、医師は2つの選択肢を告げたそうです。1つは脚を切除してあと3年は生きられる。もう1つは、脚は温存できるが余命は6ヵ月。造園業はまさに肉体労働だし、小さな会社だからいつも現場にいるということが収入を得るために欠かせないですよね。

彼の決断は脚を切断し、より長く生きることでした。深刻な状況に直面していた時に彼は私たちとマイケルの本を見つけたのです。そして、そんな大変な状況にも関わらず、なんとまだ仕事を続けていたのです。彼は、本のとおりに、自分が現場に毎日行かずにどうやって会社を経営していくかということに焦点を当てました。小さな会社を経営していく過程の中で、ほとんどの経営者の頭をよぎることです。それがまさにあなたがこれまでずっと取り組んできたことですね。

マイケル:
その通りだ、トニー。君が会社を立ち上げた時、毎日自分が現場に行かずに、なんてことは考えもせずに毎日毎日忙しく仕事をしていたよね。今でもほとんどの造園業者がそうしていることでしょう。今、君は2人の男の話をしてくれたね。一人は、ガンという悲劇にも関わらずそれを乗り越え、オーナーが現場に行かなくても会社経営が回るようにしたということ。それはまさに私のすべての書籍に書かれていることです。

トニーは1つめの会社を立ち上げた後売却し、2つめの会社で創造力を築き、3つの会社で世界中の造園業者の人生を全く別のものに変えるようなプロジェクトに貢献し、今では世界中で活かされている。ではトニー、君が他の造園業関係者にどう影響を与えたのか、教えてくれる?

トニー:
さっきの例は極端な例でしたが、何千人もの社員がいない小さな会社でもシステムを導入すれば先の見通しを出せるようになりますね。しかし、小さな会社ほどシステム導入することのメリットを見落としがちです。今日、会社にしても、政府にしても、どんな分野・規模でも誰もがもっと将来予測がしたいと思っています。

マイケル、あなたとのプロジェクトに取り組んだ理由の1つは、あなたの言っている、本来の起業家は、その予測性を生み出せる能力を持っているからです。将来予測ができるようになるということは、それが会社の信頼性と持続可能性にもつながのです。

マイケル:
まさにその通り、立ち上げた会社で自分がプロジェクトの「中」で動くのではなく、ビジネスの「外側」から見て、同じ基準で会社を一貫して経営できる。

システムがあれば、造園の作業現場に毎日自分がいなくても社員が生産性をもって、クライアントとの約束通りにプロジェクトを進めることができる。クライアントも結果を予測でき、社員もどう働けば良いのかを予測でき、経営者は会社のパフォーマンスを予測できるようになる。

これはただ将来予測ができるようになる、ということではなく、会社を運営していく上での絶対条件。それができなければ、経営者は、ビジネスを運営しているのではなく、単に仕事をしているだけ、ということになる。

では、経営者が同じワールドクラスの技術者だったとして、毎日一生懸命現場で作業をしなくてはならない人と、毎日現場に行かなくても成功する人の違いは何だろう?トニーの考えを聞かせてほしい。

トニー:
答えは簡単なことではありませんが、分単位、時間単位、一日単位で、何に焦点を合わせられるかということでしょう。その一瞬一瞬をビジネスの「中」で考えて、毎日現場で一生懸命取り組むのか、あるいはビジネスの「外側」から広い視野をもって長期で捉え、システムの導入を考えるか。

ここで大きな違いが生じます。

そうして仕事のやり方が変化した時、今日、何時間働いたか?を心配するのではなく、将来、どれだけの成功を収められるか?を考えることができるようになるでしょう。

マイケル:
造園業に関する「システム」というのは一体どういうことですか?例を挙げてください。

トニー:
まず絶対に欠かすことのできない3つをお話ししましょう。

1つめは本でも最初に触れているのですが、財務システムです。これはどのようなお金を手にしたいのか、そしてそのお金をビジネスの中でどのように活用したいのかという経営者の決断です。経営者は真っ先におおよその戦略を含めた確かな財務システムを考えなければなりません。

それができてから、運用システムに着手すること。これが2つめです。その運用システムというのは、簡単に言えば、仕事の流れです。それをどう形作るか?さらに、どのように時々の時代に合わせて仕事の流れを改善させるかということです。運用システムがあれば、これまでよりも努力を必要とせず、もっと時間をもてるようになります。

3つめは顧客獲得。しかし、私たちの書籍では顧客獲得には焦点を当てていませんね。1つめの財務システム、そして2つめの運用システムを先に基礎として確立しなければ、3つめの顧客獲得はうまくいきません。順番を間違えればその会社は破綻することでしょう。

マイケル:
システムを導入して活用する管理法を学んだ経営者は、どの業界においても着実な結果を残します。一方、自分達で働くことだけしか経験がないと、会社が大きくなるとともに問題が生じます。これは私がいつも言っているとおりですね。

トニー:
まれに目にするのが、私たちの業界であれば、どのように芝刈り作業をするかということを、文書や映像、写真で事細かに説明するためのマニュアル作成に時間を掛けていることがあります。

しかし、そのような人達に僕が教えていることは、会社にシステムを取り入れ、しっかりとした芝刈り技術の訓練に合格するまで誰も現場に派遣しないと決めるということです。使用する機具の詳細や、それを使った案件の成功例を見せるのは良いことですが、それまでの過程や手順を文書化等することにあまりにも手を掛けるような会社の多くは成功していません。

マイケル:
その通り。システムというと、手順書を思い浮かべる人が多いが、それだけではないということだね。起業家としては、いまよりもっと上手く仕事にするため、ベストな方法にするため、もっと良い方法は何かということに焦点を当てるべきですね。

あらゆるビジネスの経営者にとって、次のステップに進むための実践的な一歩は、とてもシンプルなことです。それは外に出てみるということ。どの起業家も、一旦会社の外に出て、客観的に物事を見ることが必要です。一度会社を外側から見てみること。

多くの起業家がそれをやったことがない。いつも内側にいる。一度外に出て、外から見れば、そのことがどんなにマイナス影響を与えているかがわかるでしょう。外に出て、全体を客観的に見てみる。それは大きな一歩になるのです。

トニー:
実際に私も仕事の流れを変えることを実践しました。6ヵ月間、現場から完全に離れてみて400ページの技術書を書き、オペレーション全体を整えました。時間は掛かりましたが、一旦新しい流れがうまく行き始めると、自分達に返ってきた成果はすばらしいものでした。

これまでの仕事のやり方や決断等、僕にとって全てが変わりました。スーパーローンシステムを生み出せたのもそれが理由です。現場を離れてみて仕事の流れを変えるというのは、実践するには、難しいと思われるかも知れませんが。

マイケル: 
私は優れた起業家のことをビジネスデザインの達人と呼んでいます。ビジネスデザインの達人とはまさにトニーのような人のことで、彼は6ヵ月の間会社から離れた結果、突然スーパーローンシステムというものを思い付きました。

トニー:
今のところスーパーローンシステムはアメリカ・カナダ国内42州で使われていますが、他にはアイルランドやオーストラリア等からも、たくさんの問い合わせを受けています。素晴らしいことです。

マイケル:
では最後に、トニーのこれからの夢を教えてください。

トニー:
あなたが世界中のスモールビジネスに対して行ったのと同じように、造園業の中で、職人経営者をサポートすることかな。

多くの場合、造園業の経営者は、ただ家族を養える収入を得られる程度に仕事をすることしか考えていません。しかし、最初はそれでも良くても、最終的な結果がひどいものになってしまう例がたくさんあります。

一方、他社に真似をされるほどワールドクラスに会社を大きくすることを目標とする人もいます。私は小さな造園業が、多くの収益を上げ、社員が世界的に見ても基準の高い給与や福利厚生を得られるように、どのようにシステムを導入するかを教えたいのです。

ビジネスオーナーは、まぁまぁ良いレベルではなく、しっかりオーナー自身や社員を大事に扱うことが必要です。そのために、今いる状況から、理想の領域へ近づこうと変化を起こすことが求められるのです。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

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