中小企業経営者が会社を売却するには


先日、海外のセミナーに行った際、スピーカーとして登壇したジョン・ウィロー氏の話をご紹介します。彼はガーバーの会社のクライアントであり、いまはビジネスパートナーでもあります。

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ジョンは元々、マーケティングリサーチの会社を経営していましたが、あるきっかけで会社売却を目指すことにしました。その後、実際に売却に成功し、いまは会社売却/M&Aプロとして活躍。中小企業を高く売却するための方法論を確立しました。

会社売却のための書籍なども書いているのですが、その話は後日することにして、今日はセミナーで彼が話してくれた内容をかいつまんでご紹介します。

中には、「会社を売るつもりはないから関係ない」と思われる方もいらっしゃると思いますが、ガーバーも常々言っているとおり、“会社を売却するかどうかはどうでも良く、会社を売れる状態にすることが大事”なのです。

会社を高い値段で売るには、企業価値が高いことが条件になります。企業価値は何も財務面の話だけではありません。企業価値を高めるには、

・経営者が変わっても同じように経営できる仕組みがあること
・永続的に繁栄するために、顧客にとって非常に価値の高い商品やサービスがあること
・安定した収益を上げ続けるビジネスモデルがあること
・独自性のあるブランドがあること

などが必要となります。

これらは、全ての中小企業経営者がぜひ目指したい、と思う要素のはずです。つまり、“会社が売れる状態“を目指せば、経営者にとっての“良い会社”が出来上がります。

以下、概要を記載しますのでご参考にされてください。


2002年、私はMIT(マサチューセッツ工科大学)の経営者向けのコースに通いました。そこで、私はこれまで間違った物を売っていたことに気がついたのです。

MITでは、60人くらいの他の起業家とともに、どうすれば良い会社を作れるかを学びました。

このコースに参加できるのは、40歳以下で、年商が1億円以上の経営者だけです。

最初は、社員にオーナーシップを持たせることを学んだり、リーダーシップについて学んだりしました。

コースの最後になって、最近会社を売却した起業家からの講義がありました。彼は私たちにこう質問しました。

「この中で自ら顧客に商品を販売したり、サービスを販売したりする仕事にかかわっている人はいますか?」

部屋にいたほとんど全員が手を挙げました。

すると講師は、

「君たちは商品を売ることに時間を使いすぎていて、会社を売ることにまったく時間を使っていないだろう」

と叱咤しました。

私は彼が何を言っているのか、意味がわかりませんでしたが、続いてこう言いました。

「起業家としての君たちの仕事は、商品やサービスを販売する営業担当者を雇うことだ。そうすれば、君たちは会社を売ることに時間を使える。

商品を売ればせいぜい数十万円が得られるだけだが、もし君たちのスキルを会社を売れる状態にすることに使えば、比較にならないほどのメリットが得られる。

つまり、君たちは能力はあるが、それを間違った商品を売ることに使っているのだ」

彼はこういうと沈黙し、私たちが話を理解するのを待っていました。

私は彼の話を聞いて、経営者としてまったくの素人同然だったことに気がついたのです。

そして、プロの経営者の世界を垣間見た気がしました。プロの経営者はまったく異なるルールでゲームをしていたのです。

それ以降、会社での私の役割は完全に変わりました。会社を売れる状態にするにはどうすれば良いかを考え始めました。

それまでは商品を売る方法を身につけようとばかり考えていたのですが、完全に視点が変わりました。

私は営業担当者を雇いました。

最初は自分で大きな取引をまとめることの楽しさを失ってしまったと感じましたが、時間が経つにつれ、自分以外の人が活躍して商品を売ってくれることに楽しみを覚えるようになったのです。


>>次回に続きます。

サービスを商品化しよう – Basecamp(37signals)の例:
http://blog.entre-s.com/309

サービス業の会社を売却・事業承継可能にするには:
http://blog.entre-s.com/314

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

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