ザッポスの企業文化を支える社内コーチとは?


日本でも有名な靴の通販会社、ザッポス。彼らの社内にはGoal’s Coach(目標コーチ)と呼ばれる人が常駐しています。

マネジメント能力やメンタリング能力を高めるという目的でコーチングのスキルを管理職に教えている会社が結構ありますが、ザッポスのGoal’s Coachはそういった試みとは異なります。

Goal’s Coachは、社員の個人面の、またはキャリア面での目標達成を支援する役割があります。つまり、社員の目標を支援するために、完全に独立した役職として社内に存在しているのです。

なぜ社内にコーチがいるのか?
現在のザッポスのGoal’s Coachは、Augusta Scottさん。我々が見学に行ったときにも、社員とのセッション中の姿を見かけました。彼女がこの仕事に就いたのは2004年。ザッポス初期の投資家とCEOトニー・シェイの話の中でアイデアが生まれ、彼女が別の部署から異動し、専属の社内コーチになったのです。

ザッポスは企業文化で有名ですが、その源となっているのが、彼らのコアバリュー(核となる価値観)です。その中に、「Pursue Growth and Learning(成長と学びを追求する)」というのがあります。Goal’s Coachはまさにその価値観を体現する存在として活動しています。

Goal’s Coachの仕事とは?
Goal’s Coachの仕事は、社員の目標を支援すること。具体的には、セッションを受ける社員が30日間の目標を設定し、それに向かって進捗をチェックするため、コーチと週一回30分間のセッションを行います。

社員は役職や部署に関係なく、セッションを受けることができます。これまでのところ、設定した目標を達成できた人は、98%にも上り、さらに、44%の人は社内での昇進をすることができたそうです。

目標を達成すると、Goal’s Clubへの入会が許可され、みんなからお祝いを受けられます。写真は、目標を達成すると座れる玉座だそうです。

ザッポス見学

会社にどんなメリットがあるのか?
一見すると、これは完全に社員を満足させるための制度のように見えますが、調査によると、このような制度を導入することで、社員の個人的な生活が向上するだけではなく、キャリア面での向上が見られるそうです。会社は社員の定着率アップ、エンゲージメント向上、生産性の向上などが得られます。

社員は、能力を高める機会を得られたり、自信が得られることで、より責任ある仕事に取り組んだりします。また、このような制度があることで、会社は社員に、“社員の成長は会社にとってとても価値のあることである“というメッセージを送ることができます。

Augusta Scottさんはこう言っています。

“目標や夢を達成できると、彼らの可能性が解放され、仕事やキャリア面にも明らかによい影響が出るのです。私たちには、仕事と個人的な生活は別々なものではなく、お互い交差するものであるということがわかっています。”

仕事と私生活を分けるワークライフバランスという言葉が流行っていますが、ザッポスは、この二つは切っても切れないものであり、相乗効果があるものだと知っているのです。

また、次のようにも言っています。

“社内にコーチを持つかどうかは、単に経済的な投資効果を上げるロジックがあるかどうかで判断することではありません。「ザ・ドリーム・マネージャー」の中で、マシュー・ケリーが書いていますが、社内のコーチの中心的な役割は社員を幸せにすることなのです。

こういった制度がなければ、会社はどうやって社員の価値観ややりたいことを知るのでしょうか?私はROI(Return on Investment)ではなく、ROE(Return on Employee)という言葉を使っています。会社が社員を気にかけることで、彼らも会社のことを気にかけてくれるのです。それが最終的には投資効果をもたらす事になるでしょう。“

同様の制度を社内に導入するには?
単に外部からコーチを雇ってやらせるのでは、制度が形骸化するだけです。ザッポスの場合、そもそもCEOのトニー・シェイが導入を決定し、かつそれが会社の価値観に沿ったものであった、という背景があります。

Goal’s Coachを導入するには、会社のリーダーが社員と個人的にも仕事的にも深くかかわることを決意し、深くかかわることが不可欠でしょう。

なお、Augusta Scottさんの話にも出てきた「ザ・ドリーム・マネージャー」ですが、この書籍を基にした「ドリームマネジメントプログラム」では、名前は異なるものの、近い内容をご提供しています。Goal’s Coachよりも長期的に目標や夢を追求するものになっています。

詳しくはこちらからご覧ください。
http://welovedream.com

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

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