「IBM創業者が起業したときに知っていたこと」ターンキー革命基礎理論(2/5)


編集注:この文章は、マイケルE.ガーバーが1980年代に行った講演「ターンキー革命」を文字にお越し、日本語化したものです。事例や数字などのデータが古いことがありますのでご了承ください。

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ガーバー:さて、ここで、きっと皆さんもよくご存知の人について話したいと思います。少なくとも、その人が創った会社についてはご存知でしょう。IBMの創業者、トーマス・ワトソンです。中小企業のオーナーにIBMの話をし始めると、「なんでIBMの話なんかしてるんだ?うちらはIBMじゃないし、なりたくもない」って心の中で思う人もいるでしょう。しかし、ちょっと考えてみてください。IBMは比較的成功している企業です。この意見には皆さんも同意していただけると思います。

昨年のIBMの収益額は590億ドルです。皆さんは590億ドル、いや、10億ドルがどれだけのものか想像がつきますか?10億ドルというのは、1日あたり1000ドルもらったとして、それが3000年続くんですよ。少。そして、IBMが去年稼いだ額はその59倍ですよ!見当がつきますか、皆さん?「トーマス、一体どうやったんだ??どんな秘訣があるんだ??」って思うのは当然でしょう。しかも、IBMの財力はほとんどの国家予算より大きいときている。仮にNo.1じゃないとしても、IBMは間違いなく世界中の企業の中で最も収益を上げている企業の1つです。人類の歴史を振り返ってみても、これに匹敵する前例がありません。ここで、自分自身に問わないとだめです。「トーマスは何を知っていたんだ?」とね。

誰かがトーマスに質問した時に、彼はこう答えたと言われています。「私はほとんどの人がしないことをしました」と。それは、3つあります。IBMが他社との差別化を図る上で非常に重要な3つのことです。まず、彼にはビジョンがあり、ビジネスを始める前から、そのビジネスが最終的にどのような形になるのか想像できていたんです。よくビジョナリーという言葉を聞きますが、誰のことを指しているんでしょう?それは、自分の頭の中で未来が見える人のことです。トーマスには、自分の頭の中で見えていたんです。ビジネスが一段落した時に、どのようになっているかが。今まさに創ろうとしているビジネスが、未来でとてつもなく巨大なサービス企業になっている姿が見えたんです。

いったん未来の姿が見えたなら、2つ目にすることは、どんな人が集まっているかということを想像することです。今度は、トーマスが描いたビジョンをIBMで実行してくれる人を想像します。トーマスには、ダークスーツとパリッとした白シャツに身を包み、ピカピカの黒い革靴を履いた人の大群が見えました。彼らこそが、今までにないコミュニケーションスタイルで世界を渡り歩くIBMの伝道師たちです。IBMマンという人たちなんです。

そして、最後の3つ目です。会社のビジョンも見えた。その会社の成長に必要な人のビジョンも見えた。じゃあ、次にトーマスが気付いたこととは?それは、大企業と小企業には全く差がないということなんです。トーマスに言わせれば、大企業というのは正しい方向へ進んでいった小企業のことなんです。もしビジネスを正しく始め、あたかも世界で一番の大企業のように振る舞えば、もし最初からもうビジネスが確立されているかのように行動すれば、ビジネスを成功へと導くことができると、トーマスは言いました。

そして、こうも言いました。「IBMの中で働きに行くんじゃなくて、私の頭の中で思い描いたビジョンを再現するためにIBMを作りに行くんだ」 とても重要なのでもう一度言いましょう。「IBMの中で働きに行くんじゃなくて、私の頭の中で思い描いたビジョンを再現するために、IBMを作りに行くんだ」 皆さん、これこそが、世界中のビジネスの99.9%に欠けている起業家の視点です。

たいていの人はビジネスを形作るのではなく、ビジネスの中で働こうとします。自分のビジョンを再現するためにビジネスを形作るのではなく、ビジネスの中で働こうとします。そういう人が持っているビジョンは、本当の起業家の持つビジョンとまったく別物です。それが理由となって、この世にはビジネスの中で仕事をしている人が大勢いるんです。

この趣旨が理解できますか?非常にシンプルな点なんですが、理解するのは相当困難です。トーマス・ワトソンは彼のビジネスのビジョンを、まるで自分の手の中にあるように見ることができました。他の人の場合、たいてい彼ら自身がビジネスなんです。自分自身をビジネスと切り離せない。毎日起きて、仕事。起きて、仕事。起きて、仕事。彼らにとって、自分たちなしで仕事を終えることなんか想像の範疇を超えています。彼らは仕事をこなすことにすごくフォーカスしています。一方、本当の起業家は上手く経営できるビジネスを創り出すことにフォーカスしています。起業家とは何か?起業家とは、成功するビジネスを創り出す発明家です。起業家は世界の見方を心得ており、問題に対するソリューションを提供するためにビジネスを創り出します。起業家熱に駆られた職人には理解することすら難しいでしょう。

では、どうしたらいいのか?とても簡単なことです。視点を変えるんです。私が今日一番したいことは皆さんの視点を変えることです。ハウツーを教える気はありません。そうではなく、上手く行くビジネスを創り出すためには何をする必要があるのかということを伝えたいんです。ビジネスの中で仕事をするんじゃなくて、ビジネスを形作るために必要なこと。もし皆さんがいなくてもビジネスを軌道に乗せる方法を見つけたら、人生は一瞬にして変わります。自由の身になります。

>>次に続く。

編集注:この文章は、マイケルE.ガーバーが1980年代に行った講演「ターンキー革命」を文字にお越し、日本語化したものです。事例や数字などのデータが古いことがありますのでご了承ください。

マイケルE. ガーバー

マイケルE. ガーバー

米EMyth創業者、Michael E.Gerber Companies会長。世界No.1のスモールビジネスの権威(米INC誌による)。1977年に世界初のビジネスコーチング会社、マイケル・トーマス・コーポレーションを設立。その後、約40年間にわたって、7万社の中小・スモールビジネスをクライアントに抱える会社に成長させた。「E-Myth革命」や「会社をE-Myth化する」などの言葉が生まれるほど、世界中のスモールビジネスに変革をもたらしてきた。1985年には、初の書籍、「E-Myth(邦題:はじめの一歩を踏み出そう)」を出版。「起業家の視点(職人、マネージャー、起業家という3つの人格)」、「ビジネスのシステム化」、「フランチャイズプロトタイプ」、「ビジネス開発プロセス」などの新しい概念を提唱し、現在につながる、スモールビジネス経営の新しいスタンダードを創った。同書は、16カ国語に翻訳され、700万部以上のベストセラーとなっている。

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