「レイクロックが起業したときに知っていたこと」ターンキー革命基礎理論(3/5)


編集注:この文章は、マイケルE.ガーバーが1980年代に行った講演「ターンキー革命」を文字にお越し、日本語化したものです。事例や数字などのデータが古いことがありますのでご了承ください。

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ガーバー:人は模範となる人や例を見て学習するとよく言われています。今から皆さんに、おそらく最も素晴らしい例の一つを教えましょう。奇跡についてです。この国で起こった奇跡です。多分誰も知らなかったビジネスの革命的基盤を築き上げた人のエピソードです。

レイ・クロックについてです。彼の才能についてお話したい。今この部屋にいる皆さんの誰もがどんなビジネスを選んでも、彼の才能を再現可能だということをお伝えしたい。考えてみてください。マクドナルド兄弟が創業したマクドナルドを見つけた時、レイ・クロックは52歳でした。彼はミルクシェイク用の機械を売り込みにマクドナルドへ行ったんです。ミルクシェイク用ミキサーのセールスマンでしたから。そして、サンバーナーディーノへ行き、マクドナルド兄弟と出会います。

マクドナルド兄弟はそこで自分たちのシステムを築き上げていて、清潔感ある制服を着てハンバーガーを来る日も来る日も作っていました。店内には子供も多く、あの有名な黄金色のアーチ看板もありました。これを見たレイは非常に感銘を受け、自分にフランチャイズ権をくれないかとマクドナルド兄弟を説得しにかかります。マクドナルド兄弟は実は過去にフランチャイズに失敗したため、マクドナルドをフランチャイズ展開するのは無理だろうと思っていました。だから、「それじゃあ、あげるよ」とレイにあげたんですね。

レイ・クロックはイリノイ州デスプレーンズに行き、お金を持っていなかったので、まずお金を借りて、彼のマクドナルド第1号店を開きました。それが彼のプロトタイプでした。最初から彼には想像できていたんです。無数のマクドナルド店舗が世界中に出店していく様が。月へ行ったらそこにもマクドナルドがあるって、彼は思っていたくらいです。そして、マクドナルド兄弟が実行していないあることを実行しないといけないとレイは知っていました。かつてマクドナルドの客であったレイは、マクドナルドにとって一番のお得意様は誰であるかちゃんとわかっていました。フランチャイジーです。今後幾千幾万にもおよぶ店舗を展開する上で、お金を稼ぐ唯一の方法はフランチャイジーを確保することでしたからね。

レイ・クロックには何かが見えました。ほとんどの人には見えない何かが。彼にとっての商品はハンバーガーでもなく、フレンチフライでもない。彼にとっての商品とはビジネスそのものだということに気付きました。ですから、お客様、つまりフランチャイジーに、「そのビジネスを俺に売ってくれ!」と言わせるために、彼は真の商品であるそのビジネスを形作っていったのです。

なので、彼にとっての競合とは、この世に存在するありとあらゆるビジネスチャンスでした。レイ・クロックは一度もマクドナルドの中で働いたことはありません。一度もハンバーガーやフレンチフライを作ったこともないです。皆さんがやっているようなことは一切していません。もしマクドナルドの中で実際に働いていたら、とっくに倒産していますよ。52歳ですよ、その時点で。どうやって働けるんですか?

彼は産業革命の原則を事業開発のプロセスに応用したんです。彼はマクドナルドの店舗が工場で何千も何万も生産されるかのように、マクドナルドのビジネスを見据えていました。そして、彼は自分自身に問うのです。「最初のフランチャイズ店が何度も何度も忠実にシステムを再現できるようにするためには、どうしたらいいんだろう?」と。

彼はどんな人でもフランチャイズ店を経営できるようにしたかったんです。誰でもすぐにお金を稼げるターンキーオペレーションを可能にするためには、何をすればいいのかレイは模索します。なぜなら、フランチャイジーが求めるものとはまさにそれだからです。フランチャイジーはハンバーガービジネスを求めているんじゃありません。

フランチャイジーは、レイがまさに売ろうとしていた真の商品である「独立性」と「安定性」が得られて、成功が見込めるかぎり、どんなビジネスだろうと構いません。レイは最大のお得意様であるフランチャイジーに、独立性と安定性という2つの商品を売っていたんです。「私のビジネスなら、あなたたちが求めている独立と安定を提供できますよ。ただ、キーを回すだけです。見ててください。上手くいきますから」と売り込んでいたんですね。

フランチャイジーが、「じゃあ、買いましょう」と言うと、レイはこう続けるんです。「まだ早いです。まずは学校に通わなくちゃいけません」とね。「学校??何の学校に?」とフランチャイジーが聞くと、 「ハンバーガー大学です」とレイは答えます。「ハンバーガー学」の大学ですよ、皆さん。世界でも類を見ないビジネススクールですね。

じゃあ、ハンバーガー大学で何を学ぶんでしょうか?マクドナルドで使う機械の動かし方です。フランチャイジーが大学に通い、機械の動かし方などを学び、卒業します。卒業式ではレイがフランチャイジーに角帽をかぶせ、「これで秘訣がわかったね」と言うんです。しかし、ここで彼は卒業生に対しある警告をします。「絶対にやり方を変えてはダメですよ。もし変えたら、ビジネスを取り上げますからね」 そのやり方こそが金の卵を生むガチョウなんです。そのやり方で上手くいくんだから、変える必要はないわけです。

フランチャイジーは誓いを立て、その場を歩き去ります。経営のやり方は変えません。もし変えたフランチャイジーがいたら、レイはすぐにクビにしました。AT&Tが「システムこそがソリューション」と言っていますが、レイ・クロックはそれよりもだいぶ前から同じことを言っているんです。「システムこそがソリューション」 人でもないですし、商品でもありません。システムがソリューションです。

レイ・クロック、トーマス・ワトソン、ウォルト・ディズニー、マイダス・マフラーの創業者、スーパーカッツの創業者。彼らはみんな共通のことを知っていました。消費者が他の何よりも求めていることです。世の中の素晴らしいビジネスに欠かせない、世の中の素晴らしい起業家が重視する要素。

これを一言で表すと、「コントロール」です。皆さんから何かを買おうとやって来るお客様が求めているのは、自分自身が購買体験に対するコントロールを持っているということなんです。もしお客様が求めているものを一番に提供し、それをその後も毎回忠実に再現できれば、お客様は皆さんの店に来店し続けます。レイ・クロックはそういうビジネスに身をおいていました。

そして、レイは自分が倒産するかどうかはフランチャイジーの出来次第ということに気づくのです。もしフランチャイジーが職人の気質で、とにかく仕事自体にフォーカスしていたら、すぐにマクドナルドのビジネスは崩壊するだろうと彼は思っていました。

レイ・クロックにとって、マクドナルドはレストランビジネスではなかったんです。ある意味、燃料ビジネスでした。「おーい、満タンにしてくれ!」 「かしこまりました」「おーい、満タンにしてくれ!」 「かしこまりました」 毎回全く同じやり方でお客様の要求を満たします。綺麗で整った、光り輝くカラフルな環境で、毎回全く同じ方法で店舗を運営できるのは彼の能力でした。これが、他のどのレストランにもない、マクドナルドの大きな独自性を生み出すきっかけになるんです。では、この方法で上手くいったんでしょうか?答えは一目瞭然ですよね。

今日、マクドナルドは同業ビジネスの中で最大の企業であり、世界で最大のレストランです。今日、マクドナルドは世界で最大の食料供給会社です。今日、マクドナルドはアメリカだけで毎日2200万人もの人の胃袋を満たしています。そして、今日、マクドナルドはアメリカでナンバーワンの成長株です。ナンバーワンです。会社が立ち上がったのは1952年です。今では来る日も来る日も何百万、何千万という人がマクドナルドで食事をしているんです。店舗1つにつき160万ドルもの収益を上げ、全米で1万店もあるんです。

その店舗の一つひとつが全く同じ方法で全く同じ商品を提供し、全く同じ成果を上げています。マクドナルドに一番近いとされる競合相手でさえ、マクドナルドの事業規模の半分しかありません。17時間ごとに1店、新たな店舗がオープンしています。考えてみてください、皆さん。ほとんどの人が、成功を次々に生み出すこのとてつもないマシーンに気付いていないんです。最低賃金で働く若者の手で、年間売上高が毎年300%成長しているんですよ。店を仕切っているのは、会社で管理職についているプロじゃないんです。

レイ・クロックはシステムこそがソリューションだと悟りました。中小企業のオーナーの大半は、自分自身のスキルに基づいてビジネスを創らないといけない、という間違った思い込みをしています。もしその方法でビジネスを立ち上げたら、自分が仕事ができなくなった瞬間にビジネスは終焉を迎えます。システムこそがソリューションです。レイ・クロックが何十年も前に理解していたことです。自分のビジネスをシステムとして認識し始めると、すぐに他とは一線を画す方法でそのビジネスを成長させることができます。

>>次に続く

編集注:この文章は、マイケルE.ガーバーが1980年代に行った講演「ターンキー革命」を文字にお越し、日本語化したものです。事例や数字などのデータが古いことがありますのでご了承ください。

マイケルE. ガーバー

マイケルE. ガーバー

米EMyth創業者、Michael E.Gerber Companies会長。世界No.1のスモールビジネスの権威(米INC誌による)。1977年に世界初のビジネスコーチング会社、マイケル・トーマス・コーポレーションを設立。その後、約40年間にわたって、7万社の中小・スモールビジネスをクライアントに抱える会社に成長させた。「E-Myth革命」や「会社をE-Myth化する」などの言葉が生まれるほど、世界中のスモールビジネスに変革をもたらしてきた。1985年には、初の書籍、「E-Myth(邦題:はじめの一歩を踏み出そう)」を出版。「起業家の視点(職人、マネージャー、起業家という3つの人格)」、「ビジネスのシステム化」、「フランチャイズプロトタイプ」、「ビジネス開発プロセス」などの新しい概念を提唱し、現在につながる、スモールビジネス経営の新しいスタンダードを創った。同書は、16カ国語に翻訳され、700万部以上のベストセラーとなっている。

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