あなたの仕事・業界はこうして無くなる


以前、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン氏が発表した、「雇用の未来」という論文が話題になりました。そこには近い未来、コンピューターに取って代わられる仕事がリストしてあり、見たことがある人も多いでしょう。

英語論文:
http://www.futuretech.ox.ac.uk/sites/futuretech.ox.ac.uk/files/The_Future_of_Employment_OMS_Working_Paper_1.pdf

スモールビジネス経営者の方は、これを”良くある不確定な予測に過ぎない”と見ている人がほとんどだと思いますが、実際のところ、かなり現実味を帯びた近未来として研究とビジネスが進んでいます。

ガーバーは常々、「どんな優れた会社でも、”古い会社”を捨てて、”新しい会社”に変革しなければいけないときがくる。そのための準備をしておかなければいけない」と言ってます。

これから来る変化は、インターネット登場以来の衝撃、と言う人もいるくらいで、あらゆる業種の人が新しい会社への準備をすべきタイミングとも言えます。

起業家の仕事はまさに、その新しい会社を創造することであり、それは毎日、職人、マネージャーの仕事に没頭していては出来ません。

そこで今日はいくつか実例を挙げて、仕事や業界がどうなっていくのかを見てみたいと思います。


教育産業:

Rear view of an elegant teacher with students at the college lecture hall

教育産業は、無料のオンライン教育サイト「カーンアカデミー」の誕生を発端として、革新が進んでいます。中心となっているのは、MOOC(Massive Open Online Course:大規模公開オンライン授業)。オンライン上で無料、または有料で教育を提供するものです。ハーバードなどの有名大学も力を入れています。

つまり、世界中、どこにいても動画で一流の教育が受けられる、ということになります。これによって人間の教師の需要は減っていくことが予想されます。

人間の教師によるフェイス・トゥー・フェイスの教育でなければ、子供に合わせたきめ細かい教育ができない、と思うかも知れません。

しかし、その辺もアダプティブ・ラーニングという分野で研究が進んでいます。これは生徒の能力や学習の進捗度合いに合わせて、自動的に内容を変えてカリキュラムを提供するというものです。

むしろ、人間の教師よりも正確な学習サポートが可能になるといえます。

 

コンサルタント・講師:

Presenting the numbers

大きく分ければ、企業向けのコンサルタントや講師も教育産業といえます。この分野は既に競争が激しい上、先ほどと同じように、オンラインプラットフォームの普及によって無料化の流れが進みそうです。

有名どころのMOOCとしては、CURSERA、UDACITYなどがあります。いまのところ、技術系の教育コンテンツが主体ですが、そのうち、その他の分野にも広がっていくと予想されます。

https://www.coursera.org/
http://edmaps.co/udacity/

単に知識を伝達するだけのコンサルタントや講師は生き残りが厳しくなっていくでしょう。

 

通訳・翻訳:

翻訳や通訳の自動化は常にニーズがある分野です。現状ではウェブ翻訳なども性能がいまいちで、自動化の難易度が高い分野とされていますが、一方、市場とニーズが大きいために大手のプレイヤーが力を入れています。

たとえば、マイクロソフト傘下のスカイプでは、音声・テキストの自動翻訳が進んでいます。
https://www.microsoft.com/translator/skype.aspx

こういった機械翻訳がある程度使えるものになれば、通訳・翻訳産業は大きな影響を受けるでしょう。

 

税理士・会計士:

man hand with business report

日本でもクラウド型の会計ソフトが浸透しつつありますが、もちろん、海外にも同様のものがあります。

http://www.freshbooks.com/
https://turbotax.intuit.com/

これらのツールは、いまのところ、税理士・会計士の仕事を楽にするツールとして提供されていますが、その次に彼らが考えているのは、それらの仕事を丸ごと自動化することだと容易に予想できます。

税理士・会計士がお金をもらってやっていた仕事の大半がツールでカバーされるようになります。

市場規模とニーズが大きいだけに、革新が起こるスピードも速そうです。

 

音楽プロデューサー:
Music Xrayは、その音楽が売れそうかどうかを、過去の膨大なデータを元に予測するシステム。

https://www.musicxray.com/

つまり、これまで音楽プロデューサーが勘と経験を元に判断していたことがシステムで可能になります。既に有名な曲のヒットを予想したと発表されているようです。

 

弁護士・弁理士:

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弁護士も、税理士などと同じく、市場が大きいだけに様々なプレイヤーが生まれているようです。

Lex Machinaはそのうちのひとつ。
https://lexmachina.com/

弁護士や弁理士は、膨大な知識や過去の事例などを元に、判断を下すわけですが、それはまさにコンピューターが得意とする分野。

単価が高い仕事なので、ベンチャー企業が目を付けやすい分野といえます。

 

農業:

一見、ITと縁が遠そうな農業ですが、こちらも革新が進んでいます。

たとえば、Blue River Technologyは、作物の収穫時期を自動的に判別して収穫するためのシステムを提供しています。

http://www.bluerivert.com/

農家の人が目で見て判断していたことを、機械で出来るようになったということです。いまのところ、レタス用のシステムですが、そのうち、他の農作物にも応用が始まることが予想できます。

 

コピーライター:
PERSADOは、消費者の心に刺さりそうな言葉を自動的に紡ぎだしてくれるシステム。

http://persado.com/

コピーライターが頭をひねって考えていたことを、システマチックに解決してしまうシステムと言えます。

 

ウェブデザイナー

Web design concept

ウェブサイト構築ツールは、これまでにも様々なプレイヤーがいました。その多くが、たくさんのテンプレートを用意して、それをユーザーが簡単にカスタマイズできる、というものでした。

ところが、THE GRIDは異なります。ユーザーが画像などをアップすれば、人工知能が自動的に”売れるサイト”を構築してくれます。

https://thegrid.io/

いまのところ、クラウドファンディングで資金集めをしている段階です。

 

医療:

Researcher observing indikator colour shift.

医療×ITは最も注目されている分野かも知れません。

過去には、IBMのコンピューター、ワトソンが、医師よりも的確に癌の診断を下すことが出来たと発表されています。

http://www.qmed.com/news/ibms-watson-could-diagnose-cancer-better-doctors

医師が行う診断は、レントゲンなどの様々な画像データを目で見て、問題のありそうな箇所を発見するわけですが、こういった画像の自動認識はいま最も研究が進んでいる分野のひとつとされています。

有名なのは、グーグルのコンピューターが猫を自動的に認識したというニュースです。

http://wired.jp/2012/07/06/google-recognizes-kittens/

さらに、画像認識の先には、動画認識があります。

たとえば、防犯カメラはいまのところ、何かが起こった後に証拠集めのために使われているだけです。動画認識が進めば、事件や事故が起こっているとき、または起こる前に発見することができます。


 

ここに挙げた以外にも様々な分野で革新が進んでいます。

もちろん、中には予想に反して、まったく進展しない分野もあれば、上記に挙げた企業が失敗する可能性も多々あります。

しかし、確実なことは、あなたの仕事をより安価に、より手に入れやすい方法で、あなたの顧客に提供しようとしている起業家が毎日生まれているということです。

しかも、それらの起業家は大抵、業界外からやってきます。これは同業他社の集まりに参加しても見えない動きです。

ガーバーは技術革新について次のように言っています。

 

世の中の変化は常にビジネスのあり方を変えます。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるでしょう。

私たちはそれを予測することが難しいですし、する必要もありません。

過去にも、FAXやPCなどの技術革新がありました。

IBMがPC市場に参入しようとしたときのことを覚えていますか?

彼らはそれまでのメインフレーム(大規模コンピューター)ビジネスのやり方は、PC市場では通用しないことに気がつきました。その後、やり方を学んだのです。

インターネットもiPhoneの登場も予測することができた人はいないでしょう。

だから未来予測者になる必要はありません。

私たちに求められるのは、優れた観察者になることです。

勝手な自己判断をせずに、事実を観察することです。

すべての事実をあるがままに見ることです。

そうすることで、そこから新しいものを創造することができます。

 

ここにあるように、不可逆な流れに抗うのではなく、その事実を見つめ、新しい会社を創造することが起業家の役割といえるでしょう。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

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