自律型組織の創り方


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自律型組織という言葉があります。自律、とは自分を律して、自分の事は自分でやって行くこという意味。

なので、自律型組織とは一般的に、自律的な人材を育て、現場が中心となって動いていく組織と解釈出来ます。

自律型組織ができると、

第一に、社員がより高度な仕事にチャレンジする機会が生まれ、彼らに成長と働き甲斐を提供することができます。

第二に、経営者には時間のゆとりが生まれ、起業家的な時間を増やすことができます。

組織という面だけを見れば、ガーバーの組織開発の概念はこれにかなり近いので、今日は自律型組織を創るための検討事項をご紹介したいと思います。

 

共有の夢とビジョン:
通常、会社は会社と社員の契約関係で成り立っています。社員は労働力を提供し、会社はその見返りとして給与を提供する。

その契約によって、社員は安心して働けるのですが、中には、もらっている給与に見合わないことはやりたくない、という人も出てきます。これだとなかなか自律型の組織にはなりません。

一方、一部のボランティアや宗教、または社会運動の組織やグループなどでは、必ずしもこういった契約に基づいて運営されているわけではありません。

金銭的な見返りがあるわけではないのに、自分の時間と労力を使って、活動に参加する人がいます。

それはなぜかといえば、その組織の夢やビジョンと自分の人生の夢やビジョンに、一致しているところがあるからです。

その中では、みんなが本心から同じ夢とビジョンに向かって動いているので、素の自分でいられる。

もちろん理想なのは、会社でも素の自分でいられることです。

ガーバーの言葉を使えば、”人はみんな生きる場所を探している”ので、会社としては、その場所を提供してあげる必要があります。

そのために第一に必要なのが、共有の夢とビジョンと言えるでしょう。

 

共有の価値観:
しっかりと定義された会社の価値観は、社員の意思決定の基準となります。

マニュアルに無い想定外のケースが起こったときでも、共有の価値観に基づいて意思決定・行動できます。

夢もビジョンも価値観も、大切なことは、”共有”が”強制”にならないことです。

”社員に常々ビジョンを語っているが、どうも理解してくれているように思えない”という経営者の方は多いですが、その理由の大半は、”共有”ではなく”強制”になっているからです。

優秀な政治家や社会活動家のスピーチを見てみると、”共有”と”強制”の違いが良くわかります。

彼らは自分の思いを民衆に強制しているわけではありません。

そもそも独裁者で無い限り、思想を強制はできません。

彼らは、”誰もが心の中で思っていたが言葉に出来なかったこと”を明文化してわかりやすく表現し、伝えています。

だから、民衆は、”自分も前からそう思っていた。この人は話のわかる人だ。”と感じ、同じ方向に向かおうとするのです。

夢、ビジョン、価値観の共有も、それと同じことです。

 

組織開発:
組織といえば、階層構造のヒエラルキー型を思い浮かべると思いますが、最近では自律型組織を目指すためにホラクラシー型と呼ばれる組織構造を採用する会社もあります。

これは社内にサークル型のグループを作って、余計な管理不要、フラットな組織にするというもの。有名なところでは、ザッポスやAirbnbなどがあります。

いずれにしろ、組織開発で大切なのは、ビジョン達成のために自社に必要な機能とポジションを定義することです。

その上で、各ポジションの作業と責任を明確にします。

そうすれば、各ポジションの人材が自分の範囲内で意思決定を行うことができるようになります。

 

双方向コミュニケーションの場
トップダウン型の指示命令だけでは、やらされている感を生み出すことになりますし、ボトムアップ型で社員からの提案をすべて受け入れていては、組織としてコントロール不能になりがちです。

そこで、会社と社員、上司と部下との双方向のコミュニケーションが必要になります。

私たちがお勧めしているのは、全社員に会社の方針や状況を伝えるビジネス開発会議の実施(トップだダウン型)、そして定期的な社員との個別面談の実施(ボトムアップ型)です。

この二つがうまく作用することで、コミュニケーション不足による混乱や不安不満を事前に防ぐことができ、社員が成果を出しやすい環境が実現します。

 

採用プロセス:
経営者であれば、”優秀な人材が欲しい”と思っているはずですが、そもそも自社にとっての優秀な人材とはどういう人かを定義できているでしょうか?

まずそれを定義しないことには、効果的な採用や人材教育が出来ません。

どんな人を雇いたいかわかっていないのに、面接で聞く質問を決めることは出来ませんし、何を教育すれば良いのかもわからないでしょう。

なので、採用は自社にとっての優秀な人材の定義をすることが第一歩目です。

そして、これには、企業文化が大きく影響してきます。

 

企業文化:
企業文化は、ざっくりいうと、

「イノベーション志向」か「官僚志向」か?

という軸と、

「協調志向」か「競争志向」か?

という軸で分けられると言われています。

たとえば、ITベンチャーなんかでは、イノベーション志向が強いです。

一方、飲食店のチェーンなどでは、現場でイノベーションをガンガンやられるとチェーン全体の顧客体験がバラバラになってしまうので、決まった手順で仕事を行う官僚志向が強くなくてはいけません。

また、社員同士が家族的な雰囲気な会社は協調志向。

一方、市場競争に勝つために、各社員が個人事業主のように競いながら仕事をする会社は競争志向。

このようにして、二つの軸である程度、自社の企業文化を知ることが出来ます。

自社の企業文化に合う人が、自社にとっての優秀な人材と言えます。

そのようにして採用すれば、彼らから見ても、あなたの会社は働きやすく、成果を出しやすい環境になるでしょう。

 

学び続ける仕組み:
”仕事経験のある優秀な人を雇って、あとは彼らに自由にやってもらう”

というのが理想だと思っている経営者の方も多いでしょう。

しかし、それは単にマネジメントの放棄といえます。

ガーバーがいうように、”どんな人材もあなたの会社の中では初心者であり、彼らを生徒とした学校を創ることが必要”となります。

その学校の中で最低限教える必要があることとしては、

第一に、全社共通の働き方のルールや方法、

第二に、そのポジションで行うべき仕事に必要なスキル

があります。

それを継続的に提供していくことで、学び続ける仕組みができます。これも自律型組織を作るために必須の仕組みといえるでしょう。

 

以上、自律型組織は一朝一夕に出来ることではないので、出来るところから取り組んでいただけると良いと思います。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

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