競合不在のビジネスを創るために起業家が自問自答しなくてはいけないこと


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※この記事はマイケルE.ガーバーが1990年代に行った講演を書き起こしたものです。事例等が古いことがありますのでご了承ください。

 

あなたのビジネス、または始めようとしているビジネスで、絶対的に重要なものは何だろうか?

あなたの会社を決定的に特徴づけるものは何か?

例を挙げよう。

Lenscraftersという会社を知っている方はいるだろうか?Lenscraftersは驚嘆すべき会社で、数人の人たちによって創設された。

Lenscraftersの背後にあるアイデアは、1時間でできあがる眼鏡だ。

彼らはそれまでの眼鏡業界の問題点を検討した。

眼鏡をかけている方なら誰でも知っていることだが、眼鏡を作るにはどうしたらいいか? まずは眼鏡店に行ってレンズの調整で、次がフレームだ。フレームを選ぶと、店員が言う。

「1—2週間かかります。ご来店の際に調整を行います。よろしいでしょうか。あれこれ調整が必要になるかもしれないので」

行ったり来たり、行ったり来たり。コウモリみたいに目が見えないまま待たされる。そうではないだろうか?

そもそも眼鏡店に行くのは、自分に合った眼鏡を手に入れるためだ。そのために様々な面倒を我慢しなくてはならない。

 
■そこで誰かが言った。

「1時間でできたらどうだろうか? 別の言い方をすれば、客が来たときに『1時間でできます』と応じられたらどうだろう」

と。

これがLenscraftersが出した結果だ。

眼鏡業界の問題は「待つ必要がある」。

解決は「それは違う。1時間程度でできあがる」だ。

さらにはすてきなショッピングセンターに店を構えて、待っている間に様々なことができるようにするのだ。

なぜ1時間なのか?

ランチタイムが1時間だからだ。その間に、あなたは食事を取ったり、眼鏡を調整して作ってもらったりできる。

店に戻って眼鏡を受け取り、時間に間に合うように仕事に戻れる。素晴らしいビジネス機会だ。

「急いだり、待ったりもなし。費用は少し高くなるが」

これが、彼らが思い描いた「結果」だ。

 

■でもそのためにどうしたらいいかが分からない。分かっていたら、すでに誰かがやっているだろう。

彼らはどうしたか? 彼らは店内に製作設備を設置する方法を考案したのだ。誰にでも製作できるようにシステム化し、高いスキルを持ったプロでなくてもレンズを作れるようにしたのだ。

システム化し、プロトタイプ化し、試験を行って拡大して、5年後には、このとてつもないビジネスを3億9400万ドルで売却した。

なぜか?

成功したからだ!

彼らは自分たちが追い求める「結果」が何であるかは知っていたが、どうしたらいいかは分かっていなかった。

誰もやったことがなかったのだから。そこでどうしたらいいかを考え出したのだ。

 

■他にどんな例をご存じだろうか?

ドミノ・ピザはどうだろう?

ドミノ・ピザは、あなたがピザを買いに行く他のどんなピザ店とも競合しない存在だ。

ドミノは競合しないのだ。ドミノと競争できる者などいないだろう。ドミノに競合者などいようか? 何分以内にピザが手に入る?

30分だ。なぜ30分か?

30分を過ぎてしまったらもうピザなど欲しくないからだ。

「もっと早く手に入らないだろうか?」「できるとも」

彼らはどうやったのか?

速い車を持っている者を雇ったのか?

違う。彼らは分かっていた。ピザが食べたいが、ピザハットのピザほど旨くなくてもいい客がいることを。

そして30分以内にどうしても欲しい客がいることを。しかしそのためには何をしたらいいか?

簡単だ。

顧客から30分以内の場所に店舗があればいい。

彼らにはそれが分かっていた。顧客から30分以内の場所に店舗がある必要がある。

マクドナルドと同じようなものだと考えて、商圏はどうしなければならないか? 具体的に顧客をどう設定すればいいのか?

30分以内を実現するために、商圏の顧客数は何人ならいいのか?

 

■このように頭の中だけで、紙の上だけでビジネスを築くロジスティックが想像できるだろうか?

たった1つの前提のうえにすべてを計算するのだ。その前提とはピザを30分以内に顧客に届けることであり、それに基づいて立地やキャパシティのロジスティックを決定するのだ。

他の誰かではなくわれわれのピザを買ってもらえるだろう。なぜなら素晴らしく旨いピザを1時間後に食べるよりも、それほどでもないピザを30分以内に欲しい客がいるからだ。

それは誰か? どんな客なのか?

仕事から帰ってきた母親だ。母親には、腹を空かせて待っている子供たちがいる。母親は料理をしたくない。

ドミノは、非常に明確な顧客層を相手にする、非常に明確なビジネス機会があることに気がついたのだ。子供たちに食べさせるためにスピードが必要だと気づいていたのだ。

「今すぐ欲しいよ、今すぐ欲しいよ」

ドミノは配達した、配達する方法を見つけ出したのだ。

彼らがビジネスにおいて売るのはピザではない。彼らは何を売っているのか? 言ってみれば時間を売るサービスだ。

 

■さて、あなたの顧客は何を望んでいるのか? 顧客は何を望んでいる?

方法はひとまず置いといて、顧客は何を望んでいる?すべてに当てはまる答えはないが、あなたのビジネスに当てはまる答えがあるはずだ。

あなたのビジネス、または始めようとしているビジネスで、絶対的に重要なものは何だろうか?

その答えを見つけることこそが起業家の仕事なのだ。

すでに成功した者にとっては、答えは分かりきったことだ。

しかし彼らがそれを実現するまではどうしたらいいかが分からなかった。そうでなかったら、他の誰かがしていたはずだ。

しかし分かった瞬間に、それは分かりきったことになり、誰とも競合しないビジネスが出来上がることになる。

マイケルE. ガーバー

マイケルE. ガーバー

米EMyth創業者、Michael E.Gerber Companies会長。世界No.1のスモールビジネスの権威(米INC誌による)。1977年に世界初のビジネスコーチング会社、マイケル・トーマス・コーポレーションを設立。その後、約40年間にわたって、7万社の中小・スモールビジネスをクライアントに抱える会社に成長させた。「E-Myth革命」や「会社をE-Myth化する」などの言葉が生まれるほど、世界中のスモールビジネスに変革をもたらしてきた。1985年には、初の書籍、「E-Myth(邦題:はじめの一歩を踏み出そう)」を出版。「起業家の視点(職人、マネージャー、起業家という3つの人格)」、「ビジネスのシステム化」、「フランチャイズプロトタイプ」、「ビジネス開発プロセス」などの新しい概念を提唱し、現在につながる、スモールビジネス経営の新しいスタンダードを創った。同書は、16カ国語に翻訳され、700万部以上のベストセラーとなっている。

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