気乗りしない起業家


最近、私の本を読んだ弁護士からメールをもらった。

彼は本に書かれている原則を自分にあてはめ、やるべきことをやったとメールの中で書いていた。

しかし、それでも彼は、今に至るまで、ビジネスから自由になれないでいる。

彼がビジネスから自由になれないその理由は、極めて明らかである。

彼はいまだ弁護士として働いており、起業家として働いていないからである。

彼は起業家として法律業務にかかわるのではなく、起業家熱に駆られた弁護士として法律業務にかかわっているのである。

彼は私の本を読んで、そこに書かれていることをすべてやった、と言っているが、ひとつだけ、極めて大切なことを見逃している。

私のもう一つの本、「起業家精神に火をつけろ」を読んだならば、私とサラ(「はじめの一歩を踏み出そう」に出てくるパイ屋の女性)との会話を覚えているだろう。

その中で、「気乗りしない起業家」の話が出てきた。

この弁護士は、まさにサラと同じく、気乗りしない起業家なのである。

サラは素晴らしい生徒だった。

私はサラに、ビジネスについて新しい視点を教えた。職人、マネージャー、起業家の違いについて教えた。

起業家はビジョンを創り、マネージャーはそのビジョンを実現するためのシステムを創り、職人がそのシステムを動かすことを教えた。

しかし、最終的にわかったのは、それだけでは不十分だということだ。

私が「はじめの一歩を踏み出そう」の続きとして、「起業家精神に火をつけろ」を書いたはそれが理由であり、ドリーミングルームを創ったのはそれが理由である。

気乗りしない起業家は、

はい、やります。

はい、そうしたいです。

と言ってくるが、目の前にある機会を掴み、飛躍的に成長しようという本気の意志がない。

いまの仕事を変革させ、大きなビジネスへと変革させていくという意志がない。

本を読んだ人が気乗りしない起業家になってしまうのは、私にとって耐えがたいことである。目の前に飛躍できる道があるにも関わらず、それに挑もうとしない。

気乗りしない起業家は、スタートしたときの情熱を失ってしまっている。

情熱はとても繊細なものだ。

何百ものプロジェクトを思いついても、2日後、3か月後には忘れてしまう。

大半の人の人生では、やりかけのプロジェクトが山積みになっている。

満たされていない夢、雑然とした想い。壊れかけた店の看板。

こういったもので世の中は溢れている。私たちは容易に興味を失ってしまうのである。

時々、私たちの中にいる誰かが、情熱を起こしに来るが、また新しい誰かがやってきて、それを眠らせてしまう。

私は誰にでも繁栄する才能を持っていると信じている。そして、情熱がその才能に燃料を与えるのだ。

気乗りしない起業家は、情熱を失ったまま、いまいる居心地の良い場所を離れることなく、痛みだけを取り除こうとする。

しかし、それではだめなのだ。

あなたには決意をしてほしい。仕事をして、仕事をして、仕事をして、という状況をはるかに超えたところに到達するという決意を。

私の共著者は、20年も前にその決意をした。

彼は弁護士だったが、法律業務をシステム化したおかげで、業務を拡張可能にすることができた。

彼はかつて私に言った。

”私はもう弁護士ではありません。起業家です。”

その後、彼らのビジネスは米国中に広がり、136倍になっている。そして、いまでは、彼らが作ったシステムを米国中の弁護士に提供している。

だからあなたにも、いまいる居心地の良い場所を超えて、いまあなたを押さえつけている知識や能力を超えて、決意をしてほしい。

いまよりも飛躍的に成長するという決意、人を招き入れ、彼らとともにビジネスを拡張可能にするという決意を。

そのためには、情熱がカギとなる。

自分の中で、情熱がどのように動いているのかを感じてほしい。それがあなたの起業家的な機会を見つけるヒントになるだろう。

マイケルE. ガーバー

マイケルE. ガーバー

米EMyth創業者、Michael E.Gerber Companies会長。世界No.1のスモールビジネスの権威(米INC誌による)。1977年に世界初のビジネスコーチング会社、マイケル・トーマス・コーポレーションを設立。その後、約40年間にわたって、7万社の中小・スモールビジネスをクライアントに抱える会社に成長させた。「E-Myth革命」や「会社をE-Myth化する」などの言葉が生まれるほど、世界中のスモールビジネスに変革をもたらしてきた。1985年には、初の書籍、「E-Myth(邦題:はじめの一歩を踏み出そう)」を出版。「起業家の視点(職人、マネージャー、起業家という3つの人格)」、「ビジネスのシステム化」、「フランチャイズプロトタイプ」、「ビジネス開発プロセス」などの新しい概念を提唱し、現在につながる、スモールビジネス経営の新しいスタンダードを創った。同書は、16カ国語に翻訳され、700万部以上のベストセラーとなっている。

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