ザッポスが導入した「ホラクラシー」組織


以前もメルマガで少しご紹介しましたが、「ホラクラシー」という言葉を聞いたことがありますか?

これは組織を可能な限りフラットにして、自律的な会社運営を目指すために開発された組織形態です。

米国ではザッポスが導入したことで有名になり、日本でも一部の、特にIT企業が導入し始めたりしています。

昨年末、ザッポスに視察に行ったときにも、いろいろと話を聞くことができたのですが、ホラクラシーに関する書籍の日本語版が出版されました。


http://amzn.to/1KmIxfn

私もさっそく読んでみましたが、基本的なコンセプトはガーバーの提唱する組織論とほぼ同じです。

実際、書籍中にもガーバーの書籍が何度か引用されています。

両者とも「社長や特定の人物に依存させることなく、自律型の組織を創るためにはどうすれば良いか?」という共通テーマがあり、それを実現するための原則があります。

ホラクラシーは、その原則に基づき、オリジナルのルールを厳格に決め込んだもの、というイメージです。

たとえば、原則としては次のようなものがります。

・権力を人ではなく、プロセスに持たせる
自律型組織を創るには、権限をリーダーに集中させず、分散させなくてはならない。ただし、分散させる先は、部下や他の人ではなく、会社のプロセス。

ホラクラシーの場合、それがホラクラシー憲法と呼ばれる、組織運営のためのルールブックになる。組織のトップも含め、誰もがそのルールブックに従わなくてはならない。

逆に言えば、そのルールブックがあることで、いちいち上司にお伺いを立てることなく、自主的に仕事ができるようになる。

・起業家が犯しがちな最大の過ちは、「ビジネスの中身にのめりこみ、会社の枠組みを手に入れないことだ」
社内の誰もが枠組み創りに携わることができ、それによって、各人の中に起業家的な発想が育まれることになる。

・人間ではなく、役割を主役にする
「個人」と「個人が担う役割」を区別すること。そのために必要なのが、明確な「職務記述書」(7つ星経営においては「職務契約書」)。

この書面の中で、各役割の目的と範囲、責任と権限を明確にする。権限を分配する場合、個人ではなく、役割に分配する。


・ミーティングを仕組み化する

ミーティングの流れを仕組み化することで、話が脇道にそれるのを避け、意思決定や対立の解決がスムースになる。

・組織には目的が必要である
組織には目的(ドリーミングルームにおける「ドリーム」)が必要であり、それが意思決定のよりどころとなる。

ただし、経営者の個人的な希望や野心は、組織の目的を見つけるための障害となる。親が子供に自分の意向を押し付ければ反抗されるのと同じように、創業者が自分の意向を組織に押し付ければ、反抗が起こる。

これらの原則は、ホラクラシーを導入するかどうかに関わらず、いまの組織でも役に立つと思います。

具体的な方法論については書籍に書いてあるので、そちらをご参照ください。


http://amzn.to/1KmIxfn

なお、書籍にも書いてありますが、ホラクラシーは万人向けではありません。そして、導入するには、注意すべき点もあります。

第一に、これも書籍にも書いてありますが、導入には時間もかかり、失敗するケースもあるので、慎重に行う必要があるということ。

ザッポスにおいても、少なくとも2015年12月時点では、一部の部署には導入が難しいという理由で、全社的には導入されていませんでした。

第二に、ホラクラシーを導入するには、外部のアドバイザーの助けを借りたほうが良いという点。

そして、ホラクラシーを紹介したり、導入を支援したりするには、ホラクラシーの開発元である、ホラクラシー・ワン社から認定を受ける必要があること。

なので、もし、導入をしようとして、外部の力を借りようとするのであれば、その人がきちんと認定ライセンスを持っているかどうかを確認したほうが良いです(残念ながら、私が知る限り現時点では日本で認定されている人はいないと思いますが)。

以上を踏まえたうえ、自律型組織を創る方法論の一例として、ホラクラシーは参考になると思います。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。