ビルゲイツのシンク・ウィーク(Think Week)


さて、ゴールデンウィークが始まっていますが、時間に余裕がある方は、この機会に、シンク・ウィーク(TW:Think Week)を実践することをお勧めします。

シンク・ウィークとは、マイクロソフト創業者のビルゲイツが実践していた、年に一度の習慣です。

彼は年に1週間、完全に業務から離れ、経営に影響を与える重要なテーマについて検討する習慣を持っていました。

そのお陰で、マイクロソフトは重要な局面において正しい意思決定をすることが出来たとされています。

たとえば、インターネット黎明期の頃、マイクロソフトはその波に乗り遅れたと言われていました。ビルゲイツ自身、インターネットの波は感じていたものの、まだその可能性を完全に理解していなかったのです。

そこで、1995年のシンク・ウィークで、ビルゲイツは、インターネットをテーマに選びました。一週間、インターネットがこれからのビジネス、そして人々の生活にどんなインパクトを与えるのか、徹底的に調べたそうです。

シンク・ウィークから帰ってきたビルゲイツは、会社のエグゼクティブ向けに「インターネットの高波」というタイトルの社内メモを発信しました。このメモはIT業界ではかなり有名で、インターネットの将来可能性を示唆したうえで、次に自社が取るべきアクションを示したものとなっていました。

そして、メモが発信されたわずか3か月後には、MSNというインターネット事業がリリースされ、他の事業についてもインターネットへの対応を進めていきました。

結果、当時、急成長していたインターネット系のベンチャー企業を飲み込む形でマイクロソフトのインターネット事業が成長していったのです。

1995年当時でもマイクロソフトはかなりの規模の会社でしたが、わずか一週間のシンク・ウィークがきっかけで、完全に会社の方向性を変革させました。

大半の業界では、当時のインターネットの登場ほど重大性のある変化は起こってないと思いますが、それでもシンク・ウィークを取り、今後の方向性を定めるのはとても有意義かと思います。

そこで、参考として、ガーバーの発案した「4Rシステム」というのをご紹介しておきます。ガーバーによれば4Rシステムは、会社の方向性を定め直すために定期的に行うべき習慣とのことです。

もちろん、これがビル・ゲイツのやり方と全く同じ、というわけではありませんが、考えるフレームワークとして役に立つと思います。


R-eview strategic information(戦略的な情報をレビューする)

自社の経営に影響を与えそうな情報を収集します。同業界の情報だけでは駄目で、代替産業や最新技術系の情報もあったほうが良いでしょう。インターネットで情報収集するのも有りですが、それだと予想可能な情報しか入ってこないので、大型書店の雑誌コーナーなどで目に付く雑誌を探すのも手です。

ここでは、世の中でどんなトレンドが起こっているのか?ビルゲイツの例のように、「高波」と呼べるような大きな変化はないか?などをレビューします。

R-ethink vision and strategy(ビジョンと戦略を考え直す)

いまのビジョンや計画、戦略を振り返ります。そして、レビューした情報に基づいて、”他の選択肢”を検討します。人間、無意識のうちに、一度決めたことに固執しがちになりますが、その制約を取り払うために敢えて他の選択肢を探します。


R-eaffirm or Revise vision and strategy(ビジョンと戦略を再確認または改定する)

上記二つのステップを経て、ビジョンや戦略を変える必要があるかを検討します。変える必要がなければ問題ないですが、変える必要性を感じた場合には、慎重に検討する必要があります。ビジョンは会社を憲法みたいなものであり、したがって憲法改正のごとく、様々な影響を考慮することが求められます。

R-ecommit to the vision and strategy(ビジョンと戦略に対して、改めて決意する)

考えたこと、変えたことについて、社員に伝えます。ビルゲイツが発信した社内メモがそれに当たります。社長であるあなたからのメッセージは、想像以上に社員の感情に影響を与えるということを忘れないようにします。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。

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