社員からアイデアを引き出すには?


(以下、「起業家魂に火をつけろ」より抜粋。ガーバーはマイケルE.ガーバー、サラは書籍に登場するスモールビジネスの経営者)

ガーバー:
スモールビジネスの経営者はいつもこんな不満を言っている。

「なぜ私がアイデアを出すばかりで、社員は創造的になってくれないのか?」

社員もあなたと同じで、情熱を持つことが出来れば仕事に没頭することが出来る。にも拘わらず、彼らは現在よりも将来を生きている。彼らは「1,2年後に自分は何をしているのだろうか?」という不安にさいなまれても、経営者が答えてくれることはない。

また、経営者の多くは「会社の成長に貢献すれば、それに見合う報酬を与えよう」ともいう。

しかし、社員がそのような貢献をすることはめったにない。君が子供の頃に本を書いていたように、彼らもきっと内面に創造力を持っている。君は、彼らの内側にある創造力を発見できるような手助けをしなきゃならない。

ちなみに、君は本を書きたかった少女の話を社員にしたことはあるかな?

サラ:
まさか。いままでに考えたこともなかったわ。

ガーバー:
だろうね。経営者の大半は、個人的な経験を社員に話そうとはしない。でも、社員は経営者と親密な関係を求めている。そして、”一生懸命働いてくれれば昇進させるよ”という空手形ではなく、人生に影響を与えるような何かを求めている。つまり、社員の人生と向き合うような真剣な会話をしなければならない。

サラ:
社員が私に何を求めているかについて、真剣に考えたことはなかったわ。

ガーバー:
僕がコンサルティングをした大手フランチャイズ企業の事例を紹介しよう。コンサルティングを行う中で、僕は何度かその加盟店を訪問する機会があった。

しかし、加盟店の経営者は、僕のことを信頼していない様子だった。濃紺のスーツに糊のきいた白いワイシャツを来た白人である僕は、加盟店の職場には明らかに場違いな人間だった。彼らもそれを感じていた。

でも、僕は彼らがどんな人生を送っているかを知らなければならないと思った。最初のうち、彼らの態度は敵対的だったけれど、僕がそれに反発することもなく、生い立ちから様々な成功や失敗について話すにつれて、心を開き、本音で話してくれるようになった。

でも大手フランチャイズ企業では、このようにして加盟店と胸襟を開いて話した人間は誰もいなかった。

誰も加盟店で働く社員に関心を持たず、本社が目的を達成するための手段に過ぎないと考えていたんだ。こんな状況では彼らの内面にある創造力を引き出すことなんてできるはずもないさ。

僕は本社に戻って、次のようなアドバイスをしたんだ。

「店を大きくしたいのであれば、優良顧客を多く獲得したいのであれば、家路につく社員の後を追うべきである。彼らの家を訪れて、どのような生活を送っているかを知るべきである。社員が経験していることをあなた方も経験するべきである」

とね。

サラ:
いままで私がいかに自己中心的に自分のビジネスのことばかりを考えていたのか、ようやく気付いたわ。何度も繰り返してお店にやってきてくれるお客さんに対してもそれが当たり前だと思っていたし、従業員が働いてくれることも当然だと思っていた。お客さんにも従業員にも関心を持っていなかった。

ガーバー:
わかってくれたね、サラ。これからどうするべきか、考えてみよう。もう答えはわかっているだろう?

マイケルE. ガーバー

マイケルE. ガーバー

米EMyth創業者、Michael E.Gerber Companies会長。世界No.1のスモールビジネスの権威(米INC誌による)。1977年に世界初のビジネスコーチング会社、マイケル・トーマス・コーポレーションを設立。その後、約40年間にわたって、7万社の中小・スモールビジネスをクライアントに抱える会社に成長させた。「E-Myth革命」や「会社をE-Myth化する」などの言葉が生まれるほど、世界中のスモールビジネスに変革をもたらしてきた。1985年には、初の書籍、「E-Myth(邦題:はじめの一歩を踏み出そう)」を出版。「起業家の視点(職人、マネージャー、起業家という3つの人格)」、「ビジネスのシステム化」、「フランチャイズプロトタイプ」、「ビジネス開発プロセス」などの新しい概念を提唱し、現在につながる、スモールビジネス経営の新しいスタンダードを創った。同書は、16カ国語に翻訳され、700万部以上のベストセラーとなっている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。