マニュアルだけでは偉大な会社は出来ない


「はじめの一歩を踏み出そう」
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の中では、「職人」「マネージャー」「起業家」という3つの人格が紹介されています。

この3つの人格の話は、ガーバーの思想の中でも最も中核的であり、基本となるものになります。

職人の人格は手を動かし、目の前の仕事を片付けます。

マネージャーの人格は仕組みを創ります。

では、起業家はどんな役割を担うのか?

「はじめの一歩・・・」には詳しく書かれていませんが、

ガーバーは、偉大な起業家たちに共通する4つの役割を突き止め、それを体系化しました。

次の文章がその説明です。

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偉大な起業家は4つの役割を担います。

まず、「ドリーマー」が夢を創ります。夢とは偉大な結果です。

次に「シンカー」がビジョンを創ります。ビジョンは偉大な結果を成し遂げるためにしなければいけないことです。

次に「ストーリーテラー」が、目的を創ります。目的はなぜそれらを成し遂げなくてはならないのか?です。

そして「リーダー」がミッションを創ります。ミッションとはそれらを成し遂げるために必須のシステムです。

私自身、1977年にビジネスをスタートしたとき、いま言ったとおりのことをやりました。

そして、いま、そのビジネスが世界中に広がっている状況を見れば、そのときに創ったシステムが正しかったことは証明されています。

– マイケルE.ガーバー
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このように、「ドリーマー」「シンカー」「ストーリーテラー」「リーダー」というのが起業家の4つの役割です。

もう少し説明をすると下記のようになります。

1.ドリーマーはドリーム(夢)を創ります。

ドリームとは偉大な結果です。

夢というといわゆるアメリカンドリーム的な願望・欲望を思い浮かべますが、ガーバーはこれらの夢のことを「パーソナルドリーム」と呼んでいます。

パーソナルドリームは起業家がビジネスを創る理由にはなりません。

偉大な起業家のビジネスは「インパーソナルドリーム(他人のための夢)」に基づいています。

例えば、モハマド・ユヌス氏の「この世界から貧困をなくす」というのはインパーソナルドリームです。

また、ドリームは良く経営理念と混同されることが多いですが、両者は異なります。

ドリームは先のガーバーの言葉にあるように、自社が外部にもたらす「結果」であるのに対し、経営理念は自社の「方法や考え方」を指しています。

経営理念は大半の企業に存在しますが、ドリームがある会社は稀だと思います。

そして、このドリームは、非常にフォーカスされているものである必要があります。

フォーカスされていればいるほど、顧客を引寄せる力が強くなり、成長力が高まります。

さらに経営や組織の形態もシンプルになります。

2.シンカーはビジョンを創ります。

ドリームをいかなるビジネスで実現するか?がビジョンです。

それがビジョンになります。

たとえば、この世から貧困をなくす、と言った時、その方法としてはいくつも考えられます。

ユヌス氏は、その中で銀行という事業形態を選んだのです。

3.ストーリーテラーは目的を創ります。

目的は、顧客が具体的にどうなるのか?というストーリーのことです。

ドリームをより具体化、詳細化したものと言えます。

4.リーダーはミッションを創ります。

ミッションは、日本においては「使命」と訳されることが多いですが、ここで言っているミッションは、ミッションインポッシブルでの使われ方に近いです。

つまり、「使命」というよりも「指令」といえます。

ミッションは、ドリームとビジョンを実現するために、どんなシステムを創るか?ということです。

ユヌス氏の例でいうと、マイクロファイナンスの仕組みがそれにあたります。

偉大な企業には、その基盤にこれらの要素があります。

はじめの一歩を踏み出そうを読むと、「マニュアル化」ということに目が行きがちになりますが、いくらマニュアルを揃えても、起業家がこれらの4つの役割を担えなければ、平凡なビジネスで終わってしまうのです。

上記にご紹介したことを参考に、ぜひ自社の

ドリーム・・・偉大な結果
ビジョン・・・ビジネスの最終形
目的・・・顧客に与える具体的な影響
ミッション・・・ドリーム、ビジョン達成のために必須のシステム

という4つの軸を固めてみてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。