経営者が会社に与えている悪影響(3/3)


前回の続きで、

”経営者によって引き起こされるビジネスの機能不全”
(DBO:Dysfunctional Behavior in Organization)

の9つの課題のうち、残りをご紹介していきます。

※前回の内容を見逃した方はこちらから:

1~3つ目
http://blog.entre-s.com/653

4~6つ目
http://blog.entre-s.com/657

DBOとは、経営者が知らず知らずのうちに、会社に与えてしまっている悪影響のことを指しています。

前回は6つ目までご紹介しましたので、今日は最後の3つをご紹介します。

 


その7.

・多くの人があまりに野心がないことが理解できない。
・人生のある時期、「スター」のような存在だった。
・目標を設定したり、達成するものについて考えたりするのが大好きである。

以上のことに心当たりがある方は、

【過度な業績志向】

に当てはまります。

過度な業績志向の人は、現実的でない目標と期待を持ち、人を駆り立てすぎ、自らが働きすぎ、仕事と生活のバランスの崩れや英雄への憧れが見られます。

感情の喪失、ビジネスの目標や戦略に温かみがない、結果をあせって手抜きや投売りをしがち、人の感情を傷つける、人の気持ちに気がつかず、うわべを繕い不誠実な態度を取る、深い目的や人間関係の欠如、などの症状が生じがちです。

彼らはいつも何かに駆り立てられているものの、人の感情に訴えることができないことがあります。それは、野心的ともいえる動機が他の人の共感を呼ばないからです。その結果、多くの場合、経営陣と社員の間に亀裂が入り、摩擦が生じます。

 

その8.

・衝突を避ける。人と対立するのは好きではない。
・優先しなければならない重要事項が出てくると、つい重要ではないことをしてしまう。
・私のビジネスには人事上の問題があることがわかっているが、それに取り組むよりは我慢することを選んでいる。

以上のことに心当たりがある方は、

【乖離】

に当てはまります。

乖離のビジネスリーダーは、現実逃避、痛みや衝突の回避、放棄、否定、消極性、放置、優柔不断、関与不足、コミュニケーション不足といった傾向があります。

比較的簡単な解決策があるのに、長い間放っておかれているビジネス上の問題や、周囲に悪影響を与える社員の問題、管理放棄に起因する急性的な人依存の状態、方向性、インスピレーション、夢の欠乏、無秩序、組織性やはっきりした役割・責任の欠如、ビジネスの放置などの症状を引き起こします。

このタイプの人達によって経営されているビジネスには、一見して有能で独立した社員が集まっているように見えます。良いことのように思えますが、それは、そのままだと統合性のない組織となってしまうため、リーダーのパワーが欠けている部分を社員が自分たちで埋めてなんとかしようとした結果に過ぎず、健全なマネジメントとはいえません。

 

その9.

・貢献できる何かユニークなものを持っていたい。
・人に従うのも人から従われるのも嫌いで、いずれの役割も苦手だ。
・ほかの人が褒められていると、競いたくなることが多い。

以上のことに心当たりがある方は、

【 自尊】

に当てはまります。

自尊が強すぎるリーダーは、自己愛が強く、横柄で、正義感が強すぎ、自分を特別視したい欲求、同時に他者への軽蔑を示す傾向があります。

このタイプの人達は、普通でない高い知的能力やずば抜けたスキルや深い経験などの特別な資質を実際持っているかもしれないが、それにしても歪んだ優越感を持つ傾向にあります。

他の人たちと同様、強さが弱点になってしまい、機能不全を引き起こします。彼らは自分に頼る組織を作りがちです。なぜなら、他者に権力を与えると、自分の重要性が減ってしまうと感じるからです。彼らにしか出来ないことがあることこそ、自分の価値になると信じています。

また、彼らは批判に対して特別敏感で、否定的なフィードバックを無視したり、そらせたりし、また聞き入れる時は過剰につぶされてしまい、非生産的になってしまったりします。


 

以上がDBOの9つの課題になります。

どれに最もよく当てはまりましたでしょうか?

ちなみに、私自身は、【その4.注意散漫】が最も当てはまり、次点が【その8.乖離】でした。(乖離のほうは初めて診断したとき以来、治すように心がけたので大分良くなりましたが)

最初にお伝えした通り、これらの課題は、機会と表裏一体です。

自分が課題と思っているご自身の特性は、逆から見れば他の人が持っていない強みだったりするのです。

”弱みとは強みがねじれて表面化されたものであり、そのねじれを取り除くことによって、あなたの中の光がより強く輝くのである。”

というガーバーの言葉の通り、

ねじれが何かを知り、自己認識を深めることで、ご自身がビジネスに与えている悪い影響を、良い影響へと変化させることが出来ます。

また、ガーバーは次のようにも言っています。

”いずれにしろ、重要なことがある。あなたのリーダーとしての能力は、あなたがすべてのことについて良く知っているかどうかによって決まるものではない。

それは、あなたが自分の強さや弱さについて、いかにオープンであるか、いかに正直であるかによって、決まるものである。”

この言葉にあるように、いまの時代、リーダーのオープンさというのは、社員や顧客にとって、とても重要なことになってきていると思います。

今回ご紹介したのはごく簡単な診断ですが、結果をどう経営やチーム作りに活かせるか、ぜひ考えてみてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。