「古い会社」と「新しい会社」


「Beyond E-Myth」
From a Company of One to a Company of 1,000!から抜粋

 

From:マイケルE.ガーバー

私のオリジナルの本は、「E-Myth」で、改訂版が「E-Myth Revisited(はじめの一歩を踏み出そう)」である。この本には、ビジネスオーナーとしての考え方が書かれているが、あなたの人生における特別な日、人生を変える日、資産を流動化させる日に向けた準備、つまり「会社の売却」について考えることにはフォーカスを当てていない。

「Beyond E-Myth」の目的はまさにそこにある。資産流動化の日を迎えたならば、あなたは偉大な起業家の帽子をかぶることになり、それを生涯脱ぐことはない。

 

■スモールビジネスの「市場」

では、この本に何が書かれているのかを見ていこう。まずスモールビジネスの市場を直視することが重要だ。この「市場」というのは、あなたがビジネスをしている市場ではなく、あなたが商品やサービスを提供している市場でもない。

あなたが会社を売るとなったときの会社を売り買いする市場のことである。真の競争は、あなたが会社を売りたいと思った時に発生する。これは大半のビジネスオーナーにとって、冷水を掛けられるような瞬間だ。会社を売却したいと思い始めた瞬間、99%のビジネスオーナーは、”なんてこった!”と言い、いままで間違った方法で会社を運営してきたことに気が付くのである。

まさにそうなった時にしか彼らは気が付かない。そこから抜け出す方法はないということに。

なぜなら、誰も彼らの会社を買いたいと思わないからだ。それが悲劇的な真実だ。

ほとんどのスモールビジネスは売却されることがない。そうすると、会社を畳むまで、残りの人生を過ごすことになる。その後は、生き残りのための生活になる。何とかして蓄えた年金などの社会保障制度に頼ることになる。

これまで会社にすべてを捧げてきたビジネスオーナーにとって、それは悲しく悲劇的なストーリーではないだろうか。

あなたはそうなるために、いま仕事をしているのだろうか?

もちろんそうではないだろう。しかし、もしこれからお伝えすることを無視していれば、まさにそのとおりのストーリーが待っている。それがスモールビジネスの市場における悲哀の現実なのだ。

会社を売れるように設計すること。そうでなければ、あなたのキャリアの最終段階で失敗することになる。そして、まさにその時が、何か対処するための余力が最も無い時なのだ。

 

■「古い会社」と「新しい会社」

だから私は、あなたがこれから新しく会社をスタートさせる今この時にこの本を書いた。あなたがスタートさせるその会社を「古い会社(OLD Co)」ではなく、「新しい会社(NEW Co)と呼んでいる。

※「古い会社」とは今あなたが経営している既存のビジネス。「新しい会社」とは起業家精神をもってスタートさせる新しいビジネス。(必ずしも法的に新規法人を立ち上げるという意味ではない)

売却を意図して「新しい会社」をスタートしなければ、「古い会社」を、よりうまく機能するように直すことになる。みんなそうしろと言い、みんなそうしようとしているが、それは最悪の戦略である。

だから「会社の外側から働く」というマントラを「古い会社」に当てはめるのではなく、「新しい会社」に当てはめるのだ。そして、「何をすべきなのか?そしてなぜすべきなのか?」という決定的に重要な質問を自分に投げかけよう。言い換えれば、「この会社のドリーム、ビジョン、目的、ミッション」は何なのか?という質問だ。

 

■ドリーム、ビジョン、目的、ミッション

ドリームとは、あなたの会社が生み出す型破りな結果のことだ。ビジョンとは、その結果を生み出すためにあなたの会社が取る形態のことだ。目的とは、あなたの顧客が得る利益のことだ。ミッションとは、ドリーム、ビジョン、目的を達成するために創らなくてはいけない核となるシステムのことだ。

1977年、私が起業家としてのキャリアをスタートさせたときのドリームは、「世界中のスモールビジネスの在り方に変革を起こすこと」だった。

ビジョンは「スモールビジネス向けコンサルティングのマクドナルドを発明すること」だった。

目的は「私たちに関わるすべてのスモールビジネス―オーナーがマクドナルドのフランチャイジーと同程度の成功を収めること」だった。

ミッションは「あらゆる業種のスモールビジネスに提供できるターンキー型のビジネス開発システムを最低賃金の社員を雇うコストで提供できるシステムを創ること」だった。

それが出来れば、売却できるような会社になるとわかっていた。そして実際にそうなった。

私は偉大なコンサルタントやコーチになりたいと思ってこのビジネスを始めたわけではない。拡張可能でどこでも機能するコンサルティングシステムを創りたかったのだ。

あなたの買い手は、現在のあなたの会社に興味があるわけではない。将来、あなたの会社がどうなるかに興味があるのだ。なぜならば、彼らにも出口戦略があるからだ。それは株式公開かも知れないし、またどこかに売却することかも知れないし、Facebookのように成長させることかもしれない。

要するにスケールする能力がカギだということだ。あなたがその成長する能力を見せつけることが出来なければ、買い手は現れない。

最初のステップは、ドリーム、ビジョン、目的、ミッションである。これが指数関数的成長のためのプラットフォームになる。

次のステップは、そのプラットフォームを動かすことだ。それを「持続成長のヒエラルキー」と呼ぶことにしよう。

 

■第一の階層「ジョブ」

これは、第一の階層「ジョブ」から始まる。「ジョブ」とは、あらゆるスモールビジネスオーナーが行っている類のジョブ(仕事)ではない。ここで言っている「ジョブ」とは、あなたの「クライアントフルフィルメントシステム」を創る段階を指している。これ無しには、決して拡張可能な会社は出来ない。ここで既に、生き死にが決まる。

どんなクライアントフルフィルメントシステムを創るかが、あなたの起業家としての選択のうち、最も基礎的なものになる。ここで選択を(大半のスモールビジネスオーナーのように)間違うと、もう働けなくなるまで、単純に働き続けることになるだろう。

だから最初のステップは、いまここで、「クライアントフルフィルメントシステム」を開発することなのだ。クライアントフルフィルメントシステムとは、あなたが顧客に対して約束したことを果たすためのシステムである。機能的に、感情的に、視覚的に、財務的に顧客への約束を果たすためのシステムだ。「新しい会社」はそこから始まる。

あらゆる人があなたに、”販売することに焦点を当てろ”と言っているだろうが、第一の階層「ジョブ」の段階ではクライアントフルフィルメントがすべてだ。それこそ、あなたの会社を動かすオペレーティングシステムである。顧客があなたの会社から得たいと思っているすべてのことを提供するためのシステムだ。

1977年に戻って、私の場合を考えてみよう。私たちにとってのクライアントフルフィルメントシステムは、スモールビジネスオーナーたちに、ビジネスをどのように捉えるか?を教えるためのシステムだった。それを「セブン・センター・オブ・マネジメント・アテンション(経営者が注意を当てるべき7つの分野)」と名付けた。

当時、ピータードラッカーやセオドアレビット、そのほかビジネスの偉大な思想家たちの中にも、ビジネスに対する考え方を我々のように体系化した人物はいなかった。

そして、それを「マイケル・トーマス・ビジネスデベロップメント・プログラム」として提供し始めた。その最新版がいまあなたが手にしているこの書籍に書かれていることになる。

クライアントフルフィルメントシステムを開発し、文書化し、”これが私たちのやり方だ”と言えるものにする。それがあなたが顧客を魅了し、彼らの人生や生活を一変させる方法となる。マクドナルド、フェデックス、全ての偉大な企業がやったように。また、それによって、あなたがやっていることを他の人にも委任できるようになる。

 

■第二の階層「プラクティス」

「ジョブ」の次は、「プラクティス」である。「プラクティス」は、3つの脚で成り立っている。最初の脚は、先ほど開発したクライアントフルフィルメントシステムであり、2つ目の脚は、リード獲得システムであり、3つ目の脚は、リード成約システムである。これら3つの脚が一緒になることによって、ビジネスの基本的な運営システムが出来る。

 

■第三の階層「ビジネス」

「プラクティス」の次は、「ビジネス」である。「ビジネス」とは複数の「プラクティス」が統合され、かつマネジメント・システムが存在する状態のことだ。

「ビジネス」が効果的に機能しなければ、成長できない。真の起業家は、偉大な成長企業を創るのだ。そして、そうでなければ売却できない。なぜならば、買い手がそれを望んでいるからだ。思い出してほしい。買い手は過去を買うのではなく、未来を買うのである。システムと成長のプラットフォームがあることで、買い手は購入の決断に自信を持つのだ。

 

■第四の階層「エンタープライズ」

最後の階層は、「エンタープライズ」である。「エンタープライズ」は、全体のプロセスの最終商品と言える。これこそ、我々の目的である。この段階では、もうスモールビジネスではなくなる。

エンタープライズは、複数の「ビジネス」の集合体である。それに加えてリーダーシップシステムがある。

リーダーシップは、決定的に重要な機能である。

”最終的に会社が完成した時の姿を視覚的、感情的、機能的、財務的に描写する”、”会社の中に息づく文化、魂、行動、基準、存在意義、ブランドを描写する”、”すべてのスモールビジネスは学校であるというマントラの基に、それぞれの社員がたどる道(白帯から黒帯へ)を描写する”という機能である。

「エンタープライズ」がこれからあなたが行うプロセスの意義であり、最終地点である。エンタープライズは文化的現象となり、現状を超えるシステムとなり、買い手にとっては最高の出会いとなる。なぜならば、それが出来るのは、世の中でも極めて限られた会社だけだからである。

マイケルE. ガーバー

マイケルE. ガーバー

米EMyth創業者、Michael E.Gerber Companies会長。世界No.1のスモールビジネスの権威(米INC誌による)。1977年に世界初のビジネスコーチング会社、マイケル・トーマス・コーポレーションを設立。その後、約40年間にわたって、7万社の中小・スモールビジネスをクライアントに抱える会社に成長させた。「E-Myth革命」や「会社をE-Myth化する」などの言葉が生まれるほど、世界中のスモールビジネスに変革をもたらしてきた。1985年には、初の書籍、「E-Myth(邦題:はじめの一歩を踏み出そう)」を出版。「起業家の視点(職人、マネージャー、起業家という3つの人格)」、「ビジネスのシステム化」、「フランチャイズプロトタイプ」、「ビジネス開発プロセス」などの新しい概念を提唱し、現在につながる、スモールビジネス経営の新しいスタンダードを創った。同書は、16カ国語に翻訳され、700万部以上のベストセラーとなっている。