組織の仕組み


さて、前回のメールでは、「仕組み経営」を構成する7つの力学のうち、リーダー力とブランド力をご紹介しました。

見逃した方はこちらから:
http://blog.entre-s.com/803

今回は、三つ目の力学「組織力」と四つ目の力学「財務力」をご紹介します。

 

■7つの経営力学、三つ目は「組織力」です。

組織力とは、人と仕組みを通じて物事をやり遂げる力のことを指しています。何をなすべきかを知り、それを成し遂げる方法を探し、自分自身以外の力で行うことです。

組織力を高めるには、人と仕組みについての理解を深めることが求められます。

仕組みは人々を余計な心配事や仕事から解放し、真に大切なことに集中するためのものです。そして、仕組みが人のパフォーマンスレベルを底上げします。

正しい仕組み化が行われれば、仕事はそつなく進み、社員の生産性を向上させることができます。

 

■そして、もうひとつ重要なことは、「古い会社」と「新しい会社」のバランスをとることです。

これについてはガーバーが書籍の中で書いていますので、引用したいと思います。

”古い会社とは、いま君が持っているビジネスのことさ。古い会社に対して君ができることといえば、改善を続けるか、店をたたんでしまうしかない。

どのような会社であっても、社会が大きく変化して存在意義を失い、顧客の要望にこたえられなくなるときは来るものだ。それをあらかじめ予想して、新しい会社 – 起業家としての第二の人生の始まり – の準備をすすめなきゃならないんだ。

古い会社の例としてはマクドナルドが最適だろう。彼らはたった一つのブランドとビジネスモデルを展開することで、世界で最も成功したスモールビジネスとなった。

一方で、新しい会社の例としては、P&Gがふさわしいだろう。彼らは次々に新しいブランドを創り、新しい市場を開拓することで、世界で最も成功したマーケティング企業になったんだ。

ワールドクラスの企業を創るためには、改善を続けるマクドナルドの強みと、新しいブランドを作り出すP&Gの強みを併せ持つことが必要となる。

もし、マクドナルドがハンバーガーショップの他にも、新しいブランドを次々と立ちあげて世界中で展開することに成功していたとすれば、どれほど素晴らしいビジネスモデルといえるだろう。

マネジメントのリーダーが取り組むべき課題とは、このことなんだよ。マネジメントのリーダーとなるためには、古い会社についてではなく、新しい会社について考えなければならない。

現状を維持するためにわずかばかりの変化を加えるだけじゃなくて会社を全く新しい場所に持っていくような根本的な変化を考えるべきなんだ。ワールドクラスの会社を創るためには、過去の成功した部分を残しながらも、決して聖域を創るべきではない。

マネジメントのリーダーは、この矛盾の間でバランスを取りながら前に進まなければならないんだ。”

とくに今のような時代は、「古い会社」と「新しい会社」のバランスをとることがとても大事になってきています。

組織力を高めるには「古い会社」を整え、改善を続けるとともに、「新しい会社」にチャレンジできる組織作りをしていくことが求められます。

 

■この組織力も、下記のような詳細なコースに分かれています。

・組織戦略
・システム戦略
・BDM(事業開発会議)
。EDM(社員開発会議)
・職務契約書
・協業のルール
・システム設計
・採用プロセス
・運営マニュアル
・経営チーム
・成果を出せる環境つくり

 

■7つの経営力学、四つ目は、「財務力」です。

財務と仕組みも結びつかないかも知れませんが、実は財務こそ効果的な仕組み化が必要な分野です。

財務力とは、ビジョン達成のために、いま存在する、または獲得できる資金を効果的に活用する力のことです。単に銀行口座にある現金の量を指すものではありません。

経営者の仕事は、ビジョンと現在のギャップを埋めることであり、それには、意識的に会社を成長させる必要があります。

成長とは、単に大きくなることではありません。ビジョンに向けて、より良い会社になることです。いずれにしろ、それには、大半の場合、資金が必要になります。

“成長するためには資金が必要だが、成長するまでは資金が無い”という負のサイクルが、常に経営者の悩みの種でしょう。

そのため、お金に対する正しい認識を持ち、財務力を高める必要があります。

財務力を高めるには、第一に、自分のお金に対する癖を知ることです。中にはお金に無頓着な人もいれば、細かく執着する人もいます。社員も同様であり、それらの癖による悪影響を最小限に抑える必要があります。

そして、いま会社にあるお金をいかにして最大限利用するかを学び、社内に眠っている隠れた資金を見つけることが求められます。

 

■財務に関しても、2つほど引用文をご紹介しておきます。

ひとつは、ガーバーの書籍に書いてある文章です。

お金が間違った方向に動いたときに生まれる怒りには限度と言うものがない。誰にでも醜い一面があるとすれば、それが見られるのはお金が間違った方向に動いたときである。(中略)経営者として私は、お金には絶え間ない注意が必要であることを学んだ。

毎日、いや毎時間注意を配るべきである。また、自由主義経済においてお金とは非常に複雑なものであることも学んだ。一部の人にとってお金とはすべてであり、一部の人にとってはお金とは手段に過ぎない。お金をめぐって様々な感情が渦巻いている。”

ガーバーはかつて、自社を世界展開する際に金銭面で大きな負債を抱えたことがあり、その経験から上記のような言葉が生まれています。

 

■もうひとつは、ガーバーの共著者であり、造園業を仕組み化して大成功させたトニー・ベース氏の言葉です。

”まず絶対に欠かすことのできない3つをお話ししましょう。

1つめは本でも最初に触れているのですが、財務システムです。これはどのようなお金を手にしたいのか、そしてそのお金をビジネスの中でどのように活用したいのかという経営者の決断です。経営者は真っ先におおよその戦略を含めた確かな財務システムを考えなければなりません。

それができてから、運用システムに着手すること。これが2つめです。その運用システムというのは、簡単に言えば、仕事の流れです。それをどう形作るか?さらに、どのように時々の時代に合わせて仕事の流れを改善させるかということです。運用システムがあれば、これまでよりも努力を必要とせず、もっと時間をもてるようになります。

3つめは顧客獲得。しかし、私たちの書籍では顧客獲得には焦点を当てていませんね。1つめの財務システム、そして2つめの運用システムを先に基礎として確立しなければ、3つめの顧客獲得はうまくいきません。順番を間違えればその会社は破綻することでしょう。”

 

■この財務力も、下記のような詳細なコースに分かれています。

・ビジョン達成のための財務戦略
・予算計画
・キャッシュフロー計画
・財務指標
・現場の財務
・お金はどこにある?アセスメント

 

■これまでにご紹介した「リーダー力」「ブランド力」「組織力」「財務力」というのは、会社の中における、「規律」となります。

つまり、会社におけるルールや掟のようなものです。これらは一度仕組みを作り、継続的な改善を行っていきます。

一方、次回にご紹介する「価値提供力」「セールス力」「マーケティング力」の3つは、会社の中における「活動サイクル」になります。

「規律」に基づいて、顧客を獲得し、売上を上げ、価値を提供するという際限なき「活動サイクル」です。

この「規律」と「活動サイクル」の両輪が上手く回ることで、仕組み経営が実現できるようになります。

というわけで、次回は残りの3つの力学をご紹介しますので、楽しみにしていてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。