順調に成長軌道に乗っていく事業


さて、この年(30代後半~40代)になると、昔の友人たちが創った会社がかなり成長していてびっくりします。

既に友人の会社が何社か上場していたり、つい先日も株式上場間近の友達と飲みかわしました。

その会社は大枠で言うとIT系ですが、別に特殊な技術を軸にビジネスをやっているわけではなく、他の会社がやりたがらないことを地道にやってきています。

そして、その仕事を限界まで生産性を上げてこなせるように仕組み化しているために、他の追随を許さない体制ができています。

もうひとつ、重要だと思ったのは事業ドメインの選択です。

正直、起業してどんなに頑張っても、なかなか成長しない事業と、順調に成長軌道に乗っていく事業があると思います。

その差は、選んでいる事業ドメイン、つまり、どんなビジネスで起業するか?です。

友達の会社は、これから間違いなく伸びるであろう事業を、起業家の視点で選択しています。

マイケルE.ガーバーの「はじめの一歩を踏み出そう」を読まれた方は、「自分がいなくてもうまくいく仕組み作り」のほうに目が行ってしまうと思いますが、実はあの本の中には、

”起業家にとってはどんな事業を行うかが決定的に重要である。”

とも書いてあります。

職人型ビジネスと起業家型ビジネスという、”違いが生まれる最初の違い”は、事業の選択です。

職人型の人は、

•デザイナーはデザイン事務所に
•美容師は美容室に
•エンジニアはIT企業に
•税理士は税理士事務所に

というように、自然の成り行きで事業の選択を行うケースが大半です。これを受身的選択と呼んでいます。

ガーバーは、このような起業の仕方は、「起業」というよりも、「独立開業」または転職したことと大差がないと言っています。

一方の起業家型の人は、

・市場の問題や課題
・時代の流れ
・市場規模

こういったことを考慮して事業の選択を行います。これを意図的選択と呼んでいます。

もちろん、受身的選択をしたとしても成長している会社はたくさんあります。しかし、意図的選択をした会社と比べると、成長に時間がかかることが多いのも事実です。

一方、ガーバーが”あなたのビジネスはいつでも再創造できる”と言っているとおり、受身的選択をした場合であっても、いまの業界や市場を起業家の視点で見直してみることで、事業の意図的選択をすることが出来ます。

思えばいま大成功している会社であっても、コツコツ目の前のことをやりつつ、ブレイクする事業の種を見つけるために、試行錯誤してきたという経緯があると思います。

サイゼリヤが、たまたまた価格を思いっきり下げたことでブレイクした話は有名ですね。

これはいつもお伝えしていますが、そのためにも、ビジネスの中で働くだけではなく、外側から働きかける時間を取っていただきたいと思います。

 

■では本日の本題です。

前々回、前回と仕組み経営を構成する7つの力学についてご紹介をしています。

のメールでは、「仕組み経営」を構成する7つの力学のうち、リーダー力とブランド力をご紹介しました。

見逃した方はこちらから:

・組織の仕組み
http://blog.entre-s.com/808

・ブランドと仕組み
http://blog.entre-s.com/803

今回は残りの3つ、「価値提供力」「セールス力」「マーケティング力」です。

 

■価値提供力

価値提供力とは、顧客が望む体験をどれだけ満たせるか、という能力のことを指しています。

少なくとも一般的な商品やサービスを売っている会社においては、この価値提供力が差別化の肝となります。

たとえば、スターバックスは一般的なコーヒーを販売していますが、同業他社から圧倒的に差別化されています。

それは、店に足を踏み入れれば、“スターバックスらしい”体験を毎回味わうことが出来るからです。一方で、価値提供力に問題があれば、顧客は一度は利用してくれるかも知れませんが、次も利用してくれることはなくなります。

価値提供力に影響する要素は、商品、顧客サービス、品質管理などが挙げられます。これらのシステムを顧客の感情を満たすように設計する必要があります。

価値提供力も下記のとおり、さらに詳細に分かれています。

・商品設計
・デリバリープロセス
・顧客サービス
・品質管理
・カスタマージャーニー

 

■セールス力

セールス力とは、毎回同じように、見込み顧客を顧客へと転換する力のことを指しています。

社長だけがセールスできる、トップセールスマンが売り上げの半分を上げている、というような状況ではセールス力が高いとは言えません。

セールス力を高めるには、第一に、セールスとは何かを理解する必要があります。新しいタイプの起業家によって創られた会社では、恐怖と願望だけで見込み顧客をクロージングしたりしません。

彼らは、見込み顧客に適切な事実、アドバイス、アシスト、安心感を提供し、見込み顧客が自ら購入を選択できるようにします。

見込み顧客が自ら、自分が得られる結果を想像できたり、理解できたり、価値を感じることが出来れば、セールスは既に達成されたと同じなのです。

次に、セールスとはシステムである、ということを理解する必要があります。見込み顧客を顧客へと転換するためのステップを順序だてて整理し、それを誰でも実行可能にしていくことが求められます。

セールス力も下記のとおり詳細に分かれています。

・販売プロセス
・セールスプレゼンテーション
・リピートプロセス
・紹介プロセス

 

■マーケティング力

マーケティング力とは、見込み顧客を創出する力のことです。たとえば、自社にとって正しいチャネルを選ぶ力、ブランドに沿ったメッセージを作る力、利用可能な予算を効果的に活用する力、などです。

そのためには、これまでに見てきた、他の6つの力を統合し、あなたの会社は他と何が違うのか?何が得られるのか?を明確に発信することが求められます。

マーケティングとは、つまるところ、見込み顧客のフラストレーションを理解し、それを解決します、と約束することです。

そして、価値提供力がきちんと考慮されていれば、あなたはその約束を守ることが出来ます。つまり、価値提供力が高ければ高いほど、基準の高い約束をすることが出来ます。

マーケティング力も下記のとおり詳細に分かれています。

・顧客獲得プロセス
・チャネル戦略
・メッセージ戦略
・ソーシャルメディア

 

■ 以上、これまでにご紹介した7つの力学は、文字通り力学であり、どれも互いに影響しあっています。

たとえば、ブランド力が低ければ、顧客にどんな価値を提供してよいかが定義されず、価値提供力も下がります。

また、自社がどうあるべきか?を考え抜き、リーダー力を高めなければ、ブランド力が高まることもありません。

セールス力を高めるには、営業スタッフの報酬体系や組織構造なども考慮する必要があり、組織力を高める必要があります。

このように社内のあらゆる活動は影響しあっている、と理解することが、システム思考です。

 

■さて、これらの7つの力学をカバーしている仕組み経営ですが、より実践しやすいように当学会のサービスを一新している最中です

詳しくは次回のメルマガでご案内しますので、ぜひ楽しみにしていてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。