仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう」を読み解く その3「幼年期」と「青年期」


前回から引き続いて、 仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう(http://amzn.to/1b3OHPG)」を読み解いていきます。

本日は、企業成長3つのステージのうち、「幼年期」と「青年期」です。

 

■幼年期ー職人の時代

事業の幼年期を見分けるのは簡単である。なぜなら、オーナー=事業なのだから。

幼年期とは、ビジネスがまだ小さい状態のことを指していますが、小さいと一言に言っても、いくつかのパターンがあります。

一つ目は、スタートアップと呼ばれる、出資を受けて急成長を前提としている企業の初期段階。

二つ目は、普通のスモールビジネスであり、これから成長しようとしている企業の初期段階。

三つ目は、いわゆる”パパママ”ストアと呼ばれる、成長することを前提としていない会社。株式会社ではなく、個人事業主である場合も多いです。

四つ目は、”ライフスタイルビジネス”、”ノマド”などと呼ばれる、個人ブランドをベースにした仕事で独立するケース。

ガーバーの考えでは、世の中にインパクトがあり、成長するビジネスを創ることを前提にしているので、一つ目か二つ目のビジネスがここで言う幼年期に当てはまります。

逆に今が三つ目、四つ目の状態であり、かつ、いまのままで良い、という人には本書はあまり向いていないかもしれません。

 

(引用)お店の経営が、きみの才能や人柄、そしてやる気に依存しているのなら、きみがいなくなれば、お客さんもどこかほかの店に行ってしまう。(中略)きみが現場で働かなければならないなら、それは事業を経営しているとは言わないんだ。それは仕事を抱え込んでしまっているだけじゃないのかな?(中略)きみが事業を立ち上げた目的が、これまでと同じ仕事をしながら、もっとお金を稼いで自由時間を増やしたい、ということなら、それは単にわがままで欲張りなだけじゃないのかな?

これは既にこのメルマガにご登録の方は良くご理解のことだと思います。

ちなみに、これは、経営者の才能や人柄は事業運営と関係ない、ということではありません。

経営者の才能は価値提供の仕組みを作ることによって、会社にとっての競争優位性になりますし、経営者の人柄をベースにしたブランド作り、そして、それを顧客に届ける仕組みがあることによって、顧客を引寄せ続ける会社が出来ます。

 

 

■青年期ー人手が足りない!

事業の青年期は、人手が必要だと感じたときから始まる。

幼年期を経て、多少安定した売り上げが見込めるようになると青年期に移行し始めます。

青年期では、いよいよ人を雇うときが来た、ということになり、多くの場合には、あまり採用基準なども考えず、自分がやっている雑務をやってくれる人を雇うことになります。

青年期では、マネジメントの仕組みを作らなければ、人が増えれば増えるほど問題が生じます。

そして、最も多い問題が、本書にも出てくる、「管理の仕事の放棄」です。

 

ハリー(最初の社員)に権限を委譲したといえば聞こえが良いが、「管理」の仕事を放棄した弊害が、あちこちで噴出してきた。

これはなにも、スモールビジネスにおける「最初の社員」だけに当てはまることではなく、日本のあらゆる組織で起こっている問題だと思います。

大企業の管理職であっても、管理とは何か?を正しく理解して仕事をしている人は少ないでしょう。

そのために、あちこちで放任や責任の放棄が起こっています。

 

■誰もが経験する成長の壁

事業が成長するにしたがって、経営者の管理能力を超える瞬間は必ずやってくる。(中略)手ごろなサイズを超えて事業が拡大するにしたがって、会社内部の混乱は加速し始める。

青年期で混乱に陥った会社が取る選択肢として、本書では3つを挙げています。

1.事業を縮小して幼年期に戻る。
⇒結局のところ、これも時間が経てば2番目のとおり倒産に向かいます。

2.倒産に向かう。
⇒勢いでムリな成長を求め、さらに混乱して倒産する。早く失敗して、早くやり直せるだけに、最も痛みがないとも書かれています。

3.青年期でのサバイバルレース。
⇒いわゆる中小企業として生き残り続ける。様々な問題と闘い続けることになるため、経営者としては最も試練が多くなります。

もしかしたらあなたも、経営者としていろいろな問題に直面されているかも知れません。

問題というのは、理想と現状のギャップです。

つまり、理想が高ければ問題が多くなります。

実際のところ、社内で様々な問題が発生していると感じるのは、経営者の志が高いからなのです。

会社を成長させて世の中にインパクトを与えようという経営者の志が問題の発生源なのです。

志がないのであれば、ここに書いてある通り、幼年期に戻るか倒産させて他の仕事を探したほうがはるかに合理的な選択なのです。

青年期から抜け出て、志を実現させようと思ったら、次の成熟期に出てくるように「起業家の視点」を身につける必要があります。

 

結局のところ、サラはエリザベスのことを良く知らないままに信じていたのだ。サラはただ、エリザベスを信じたいと思っていたのだろう。なぜなら、彼女を信じてしまえば、面倒な仕事をせずに済んだからである。

本書では、主人公サラが雇った最初の社員、エリザベスが経理の仕事をこなし、後から入ってきたスタッフの面倒も見ている設定になっています。

つまり、エリザベスが実質的なナンバー2になっています。

エリザベスがいたことで、サラの仕事はだいぶ楽になりました。

このような、”ナンバー2が会社を回してくれている”、状態を理想的だと考えている方も多いかも知れません。

事実、ナンバー2を養成する研修なども流行っています。

しかし、本書にも出てくる通り、それではナンバー2に依存する職人型ビジネスに過ぎないのです。

社長に依存するか、ナンバー2に依存するか、ただそれだけの違いです。

サラの場合には、エリザベスが辞めると同時に、ほかのスタッフも辞めてしまいました。

青年期では、こういった人に関するトラブルが多発します。

それに場当たり的に対処していては、先ほどのサバイバルレースから抜け出せません。

サバイバルレースから抜け出して、成熟期へと成長していくには、人の問題に仕組みで対処していくという視点が必要になってきます

長くなりましたので、本日はここまでとなります。

次回はその「成熟期」をカバーしていきますので楽しみにされていてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。