仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう」を読み解く その7「事業発展プログラムとは何か?」


これまでのメルマガから引き続いて、 仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう(http://amzn.to/1b3OHPG)」を読み解いていきます。

本日は、「事業発展プログラムとは何か?」に入っていきます。

ここでは、「イノベーション」「数値化」「マニュアル化」という3つのサイクルを回すことの重要性を説いています。

トヨタの「改善」に慣れている私たち日本人にとって、このコンセプトはわかりやすいと思います。

 

イノベーションとは「顧客が望むものを手に入れるために、何が邪魔になっているのだろうか?」と問いかけることである。(中略)同時に、事業の本質ぎりぎりのところまで、無駄を省くこともイノベーションである。(中略)私は、イノベーションとは最善の方法を探し求めることだと考えている。

イノベーションというと革新的な変化を思い浮かべるかもしれませんが、ここで使っているイノベーションとは、どちらかというと日本語の「改善」に近いと思います。

日々の仕事の中で、もっと上手いやり方を探し続けるということです。

これに関連して、私が個人的な好きな逸話がありますのでご紹介をしたいと思います

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長い修行の末、ついに黒帯を受け取れることになった武道家に師範が言った。

「黒帯を受け取る前に、もう一つ、最後の試練がある。大切な質問に答えてもらわなければならん。黒帯の本当の意味は何なのか」

「旅の終わりです。これまでの厳しい修行に対する当然の褒賞です」

師範は押し黙っていた。この答えに満足していない様子だった。しばらくたって、師範は口を開いた。

「まだ黒帯を与えるわけにはいかないようだ。一年後に来なさい」

一年たって、武道家は再び師範の前にひざまずいた。

「黒帯の本当の意味は何なのか」

「武道で卓越した技を持ち、頂上に達したことを示すものです」

師範は押し黙って、それに続く言葉を待っていた。この答えにも満足していない様子だった。しばらくたって、師範は口を開いた。

「まだ黒帯を与えるわけにもいかないようだ。一年後に来なさい」

一年たって、武道かはまた師範の前にひざまずいた。師範は同じ質問を繰り返した。

「黒帯の本当の意味は何なのか」

「黒帯は出発点です。常に高い目標を目指して、終わることのなく続く修行と稽古の旅の始まりです」

「そうだ。ようやく黒帯に値するようになったようだ。修行はこれから始まるのだ」

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マイケルE.ガーバーも、常々、

「どんな優れたビジネスやシステムであっても、まだ改善できる余地がある」

と言っています。

あなたの会社の中で、どこに改善の余地があるのか、ぜひ探してみてください。

 

大半の企業で、経営に必要なデータが数値として把握されていないために、目に見えない大きな損失が発生しているのである。

ここでいう「数値」とは、財務的な数値だけではなく、事業に関連するあらゆる数字のことを指しています。

本書の中では、店舗ビジネスにおける来店数や購入者数などが例に出されています。マーケティングを少しでも学ばれた方であれば、この話はすんなりと受け入れられると思います。

いまでは色々なツールが出てきているので、ビジネス上の数値を測ることが容易になってきています。

ちなみに数値化に関連して、我々が最近導入したのが、ウェブサイトのABテストです。

ABテストというのは、同じ商品を売るためのページを複数用意(Aパターン、Bパターンというように用意するのでABテストと言われています)して、どのページが最も成約率が高いのかをテストする手法です。

手法としてはかなり昔からあるのですが、それを手動でやるのは結構面倒なのです。

最近はアクセスを自動で振り分けてくれるツールがあるのでそれを導入しました。

今まではどのパターンが上手くいくのか、勘と経験で判断しており、まさに、「経営に必要なデータが数値として把握されていないために、目に見えない大きな損失が発生している」状態だったのですが、いまでは客観データに基づいて判断ができます。

 

マニュアル化とは、現場レベルでの裁量の自由を否定するものである。

「イノベーション」「数値化」に続くのが「マニュアル化」ですが、これは原書だとマニュアル化ではなく、「オーケストレーション」という言葉になっています。

オーケストレーションとは、オーケストラと同じ語源です。ビジネスで使われる際には、本当は「組織化」と訳されます。本書ではわかりやすさを重視して「マニュアル化」と訳されているのだと思います。

マニュアル化については常々このメルマガでご紹介していますので、特に説明は必要ないと思います。

 

マニュアル化と合わせて、イノベーションと数値化に継続的に取り組むことで、仕事は個人を変化させる場になるんだ。より大きな目的を意識しながら働くようになれば、仕事は自分の内面を見つめ、自分を表現する場へと変わる。

ここが本章で最も重要な部分です。

マニュアルは作ることがゴールではなく、数値化とイノベーションを組みあわせて、継続的に改善を続けながら運用しなくてはいけません。

これを確実なものにするために、最近では、「マニュアルを改善するためのマニュアル」も含めて、マニュアル化することが増えているようです。

また、ここでは、人が育つには大きく分けて、

「見習い(アパレンティス)」「熟練工(クラフトマン)」「真の熟練工(マスタリー)」

という3つのステップがあることも紹介されています。

マニュアルに機械的に従うだけなのは、「見習い」であり、そこから技を磨き続けると「熟練工」「真の熟練工」へと成長していきます。

実はこの話はフリーメイソンの起源とされているストーリーから来ています。

フリーメイソンの起源は、宗教施設などを作る石工職人たちの職業組合だったとされています

彼らが仕事をするにあたって、秩序を保てるよう、職人たちの成長システムが作られたそうです。

それが徒弟(見習い)、匠(熟練工)、棟梁(真の熟練工)の3段階です。

一段階目は、徒弟。

彼らに求められることは、会社のビジョンに誠実であること、仕事の内容に誠実であること、会社のルールに誠実であること。

二段階目は、匠。

匠に求められることは、更に上の段階に成長するという「希望」で仕事をすること。

三段階目は、棟梁。

棟梁に求められることは、仕事の技術を慈愛の心で他の者たちに教えるために仕事をすること

ガーバーによれば、どんな会社でもこれら3つの段階を踏んでキャリアアップできる仕組みが必要だということです。

さて、本日は、事業発展プログラムの基本となる「イノベーション」「数値化」「マニュアル化」という3つのサイクルをレビューさせていただきました。

トヨタではこれらのサイクルが製造現場で行われていますが、ここではそのサイクルを事業全体に応用しましょう、ということが書かれています。

一見すると基礎的な内容ですが、実際に運用できている会社はなかなか少ないと思いますので、ぜひ自社に当てはめて考えてみてください。

 

次回は、事業発展プログラムの7つのステップに進んでいきます。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。