仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう」を読み解く その10「組織戦略」


これまでのメルマガから引き続いて、 仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう(http://amzn.to/1b3OHPG)」を読み解いていきます。

今回は、

14. ステップ3「組織戦略」

です。

組織戦略は仕組み化を進めていくにあたって、見逃されがちですが、非常に大切です。

場合によっては、組織図を構成しなおすだけで経営者の職人仕事が半分以上削減できることもあります。

 

指揮・命令系統や仕事の内容を明確にした組織図がなければ、会社は迷路に入り込んでしまうのである。

「組織を作る」とは簡単にいえば、大きな仕事を分業することです。

社長だけではやっていけない規模の仕事量になったときに、組織が必要になります。

最近では「一人起業」なども流行ってますが、大きなビジネスをしよう、世の中にインパクトのあることをしよう、と思ったら一人では絶対に無理です。

正社員にしろ、パートにしろ、外部パートナーにしろ、組織が必要になります。

そして、組織ができたら、組織図が必要になります。

「指揮・命令系統や仕事の内容を明確にした組織図」

とありますが、「指揮・命令系統」というトップダウン型の言葉に違和感があるならば、これを「情報の流れ」と置き換えてもいいかもしれません。

いずれにしろ、組織図がないとトラブルの原因になります。一番多いトラブルは、責任の擦り付け合いでしょう。

誰がどの仕事をどれだけやるか?が曖昧なために、「なんで自分ばっかり・・・」「あいつはいつも仕事してない・・・」というような不公平感が噴出します。

そのほつれが個人間、部門間に広がり、人間関係のトラブルが増え、組織の生産性が著しく落ちます。

人間関係のトラブルが増えると、多くの会社では、コミュニケーションや人間力向上の研修などを取り入れ始めます。

しかし、根本的な解決にはつながりません。

「構造が変わらない限り、同じ問題が繰り返される」

というのが原理原則だからです。

中にいる人を変えても、組織構造を変えない限り、同じ問題が起こります。

だから、まず組織図が必要なのです。

 

二人はお互いが書いたことについて話し合い、人生の夢を共有する。この過程でおそらく、兄弟とはいいながらもお互いの知らない一面を発見するはずである。

本章では、ジャックとマーレイという兄弟が会社を一緒に創業するというストーリーで、組織戦略の重要性が語られています。

兄弟に限らず創業メンバーはお互いのビジョンや夢、価値観を共有する必要があります。

そのためにも、前々回ご紹介した人生の目的を明らかにすることが有効です。

以前、私が創業メンバーだったベンチャー企業では、その共有をしていなかったことが失敗の一因となりました。

最初のうちは、みんな新しいビジネスに没頭しています。

しかし、そのうち軌道に乗ってきて組織も大きくなり始めると、創業メンバーが各自、その組織を使って自分のやりたいことをやり始めてしまったのです。

明確な組織図もなかったために、各自の仕事内容も定義されていなかったのです。

そして資金の使い道がバラバラになり、本業のサービスにも力を入れなくなり、すべて崩壊してしまいました。

 

株主としてジャックとマーレイはそれぞれの役職を任命するという最も大切な仕事を始める。

組織図を作る際にポイントなのは、代表取締役もいずれ誰かに委任するつもりで作ることです。

代表取締役というのは、取締役会で選出された、いちポジションに過ぎません。

そして、取締役会というのは、会社のオーナーである株主に代わって会社の運営をしています。

大半の中小・スモールビジネスでは、創業者である代表取締役がほとんどの株を持っているために、その辺の切り分けが曖昧になってます。

「社長=絶対的なボス」となっていることが、権限移譲が進まず、自律型組織構築の妨げになっていたりします。

代表取締役も数ある役職のひとつ、と考えることが大切です。

 

グルジェフという思想家は、他の人格に指示を出す人格を「御者」と呼んだ。また、グルジェフは「御者は馬と馬車を制御している」ともいった。事業を動かす御者として、まずは馬と馬車を制御しなければならない。

グルジェフは、ガーバーが昔、心酔していた思想家です。いまでもガーバーの言葉には、グルジェフの思想が反映されているときがあります。

組織図を作って、それをもとに会社が動き出したら、社長は自分の立場をわきまえて働く必要があります。

これはどういうことかというと、もし、あなたが代表取締役と営業担当者という2つのポジションを兼任しているのであれば、”営業担当者として働いている時間”は、他の営業社員と同じルールに従って働かなくてはならない、ということです。

ほかの営業社員が営業日報を書いているのであれば、あなたもそれを書く必要があります。営業支援ソフトにデータを入れているのであれば、あなたもそれをやる必要があります。

つまり、そのポジションの帽子をかぶって仕事をしている際には、そのポジションで求められる基準に従わなくてはならないのです。

これをガーバーは、エンプロイーシップのルール、と呼んでいます。

このルールを破ると、社員からは「社長ばっかりずるい」というような不満が出てきたりします。

組織が出来てくると、ガーバーが本書で書いている通り、「事業は働く場所から見守るべき対象へと変わっていく」ことになります。

まずはその段階を目指して、組織図づくりに取り組んでいただきたいと思います。

次回は「14.マネジメント戦略」に進んでいきます。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。