仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう」を読み解く その11「マネジメント戦略」


これまでのメルマガから引き続いて、 仕組み化のバイブル「はじめの一歩を踏み出そう(http://amzn.to/1b3OHPG)」を読み解いていきます。

今回は、

14. マネジメント戦略

です。

管理システムとは、マーケティングの効果を高めるために、事業の試作モデルに組み込まれたシステムのことである。

この一文だけだと意味が分かりにくいかもしれません。

これを理解するには、マーケティングの定義を少し変えていただく必要があります。

マーケティングとは、プロモーション、広告、見込み顧客開拓などのことである、と思われています。

しかし、ガーバーのいうマーケティングとはそれらとは異なります。

これはガーバーも認めていますが、ガーバーのマーケティングの捉え方は、セオドア・レビットの思想に影響を受けています。

セオドア・レビットは、フィリップ・コトラーと並び称されるマーケティング巨匠で、過去には有名なビジネス雑誌ハーバードビジネスレビュー誌の編集長を務めたこともあります。

レビットのマーケティング論は、現代のマーケティングに多大な影響を与えたとされています。

マーケティングを少し勉強された方であれば、

”ドリルを買いに来た人が本当に欲しいのは、ドリルではなく、壁の穴である”

という有名な逸話を聞いたことがあると思います。

顧客の本当のニーズを知ることで、新しいビジネスの機会が生まれることを示した逸話です。

この話も、レビットが何十年前に出した書籍が出典となっています。

レビットがすごかったのは、製品中心、売り手中心だった時代に、顧客志向、サービス志向の考え方を提唱したことです。いまでは、レビットの提唱した概念が一般的になっており、先見性の高さが改めて評価されています。

ガーバーは、レビットの考えを起業家やスモールビジネス経営者に伝わるように言い換え、次のような言葉でマーケティングを表現しています。

”起業家は会社を作る時点でマーケティングをしています。彼らは誰を相手にするかを決め、極めて差別化された方法で運営される会社を作ります。それら全体がマーケティングです。”

ここでいうマーケティングとは単に商品を広く認知させる活動ではなく、顧客を惹きつけ続けるためのあらゆる活動や仕組みのことを指しています。

本章では、ホテルベネチアという宿泊施設の卓越した管理システムが紹介されていますが、それも顧客を惹きつけ続けるための仕組みといえます。

これらは、マーケティングの効果を高めるためのマニュアル的な業務となっており、ホテルの管理システムの一部となっていたのである。

本章では、ガーバーが体験した、ホテルベネチアのホスピタリティ(おもてなし)が中心的なテーマになっています。

おもてなしは個人に依存するもの、というのが日本人の考え方ですが、本章では全く逆の考えが提唱されています。

それは、管理システムがあることで、いつでも誰でも卓越した”おもてなし”が可能になる、ということです。

マニュアル化できないおもてなしこそが日本の強みである、という日本人の常識に疑問を投げかけてくるようなストーリーです

もちろん、これは単に作業をマニュアル化すれば実現できるわけではありません。

次章で出てくる”人材戦略”と合わさることで最大の効果を発揮します。

従業員がスムーズに仕事を進められる仕組みがあることが、私たちのホテルの良いところかもしれません。

仕組みやマニュアルとは、会社のトップが、作業のやり方を強制するためのものではありません。

仕事をより効率的に、より効果的に行うためのものです。それがあることで、社員は無駄な努力をしたり、無駄な時間を費やしたりする必要がなくなります。

そして、仕事をより効率的に、効果的に行うにはどうすればよいか?と問いかけで、創意工夫が生まれます。

本章を簡単にまとめれば、次のようになると思います。

会社は何かしらの「約束」を顧客に対して行い、その約束を守り続けることで成り立っています。

約束を守り続けられた分だけ、顧客は商品を買い続けてくれます。

そして、その約束を守るための仕組みが、本章のテーマである管理システムなのです。

次回は「15.人材戦略」へと進みます。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。