「起業家精神に火をつけろ!」を読み解く その4


では、「起業家精神に火をつけろ!」の内容解説に入っていきます。

今日は「2.情熱と目的と訓練」の内容です。

 

(引用)起業家精神を学ぶことと、音楽をはじめとするほかの技術を学ぶことに変わりはない。

→ガーバーは、この文脈で、私たちが抱いている間違った固定概念について話しています。

それは、「起業することや経営することは、一種のアートである」という概念です。

この固定概念があるために、多くの人が何も学ぶことなく起業し、自己流で経営してしまいます。

このような固定概念が作られる原因は、メディアや書籍で紹介される”一般的ではない起業家像”です。

だいたい、メディアで取り上げられたり、書籍を出したりするような会社は、他の会社がやっていないような、自社独自の考え方や手法を紹介しています。

そのようなユニークさがなければ、メディアが取り上げたり、書籍を出したりする理由がないからです。

私たちの多くは、そのようなユニークな起業家や経営者を見て、”経営とはアートであり、先天的な才能が必要だ”と思ってしまいます。

だから学ぼうとする意欲もなく、自己流のセンスや感覚で経営してしまいます。

しかしながら、そのようなユニークなやり方で経営しているように見える会社であっても、実際には、いわば”経営の型”に沿ってうまく経営しています。

先週まで米国企業の視察にいってきたのですが、各企業ともそのカテゴリーでは世界No.1ともいえるワールドクラスの会社でした。

一見すると、それぞれが異なる経営のやり方をしていましたが、その本質を見ると、すべて同じ型に沿って経営をしていました。

たとえば、

・ビジネスを行う目的が極めて明確であること
・組織を運営する上での基本的な価値観が明確であること
・各役職の役割と責任が明確であること

などです。

私たちの目に見えている各社の違いは、ビジネスを行う目的や価値観の違いが表に出ているものなのです。

本章のなかで、ガーバーは起業家精神とは方法論である、と書いています。

”論”と表現されているとおり、起業することや経営することにはある程度の型があります。その型に自分の目的や価値観を当てはめることで、自分らしい会社ができるものです。

 

(引用)起業家精神は、厳格な訓練を重ねることと、素直な心を持つことを要求する。そして、素直な心とは、高い目的に向かって情熱を傾けるときに現れるものである。

→長らく自分で経営していると忘れがちなのが、ここで出てくる”素直な心”です。

素直な心とは、自分に必要な教えを広く受け入れることです。

ガーバーはこれを英語では、”Blank Piece of paper, and beginner’s Mind(真っ白な紙と初心者の心)”と表現しています。

自分が成功できれば良い、自分の好きなようにやれればよい、というだけであれば、素直な心は要らないかもしれません。自己流でもそこそこまではいけるからです。

しかし、私たちがここで話している本当の起業家のように高い目的を達成しようと思うと、いつかその自己流では限界があることに気が付きます。

そのときにはじめて、子供のころのように、素直な心を持つことの必要性を再度理解するものです。

 

(引用)鳥のように飛びたいとあこがれ続けるのは、魂の情熱であり、ビジョンを追求するのは知性の情熱である。(中略)この2つを統合することが、起業家的なビジョンを追求するうえで不可欠なのである。

→仕組み化は、どちらかというとテクニカルな話に陥りがちであり、ここでいう知性の情熱だけに偏る傾向があります。

知性の情熱だけで作られたマニュアルや仕組みは、運用し続けることが難しくなります。

魂の情熱、つまりビジネスの目的や価値観が欠けたマニュアルや仕組みは、組織のメンバーがその必要性を感じることができないからです。

とにかく自分が自由になりたい、と言ってご相談にいらっしゃる経営者の方は、だいたいこの課題にぶち当たっています。

そういった経営者の方の特徴は、ご自身の人生の目的を失っていることです。それがために、組織にいる社員の方々にもそれぞれ人生の目的があることを理解していません。したがって、組織が極めてビジネスライクでドライな状態で運営されています。

経営者が魂を失っているために、組織も魂を失い、顧客を魅了することができず、平凡な状態で行き詰っています。

この課題を乗り越えるには、本書に出てくる”人生の目的”をもう一度発見しなおすことなのです。(次回以降にご紹介をしていきます)

では今回は以上となります。

また次回を楽しみにしていてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。