「起業家精神に火をつけろ!」を読み解く その5


前回に引き続きガーバーの著書「起業家精神に火をつけろ!」の内容解説をしていきます。

本日は、「3.気乗りしない起業家」「4.職人から真の起業家へ」「5.気乗りしないコーチ」「6.想像するための余裕を創造する」「7.なぜ起業家は行き詰るのか?」の中から重要だと思える点をピックアップしていきます。

本書を読んだことのない方のために簡単にあらすじをご説明すると、、、

これらの章では、「はじめの一歩を踏み出そう」の主人公、サラとガーバーが再会したシーンが描写されています。

「はじめの一歩・・・」の中で、サラはガーバーとの出会いで、会社を仕組み化するということを学び、新たにスタートを切りました。

その後、会社は変わり始めるものの、時がたつにつれ、心の中の葛藤を感じ始めます。

そして、ガーバーの講演会に参加して、もう一度、アドバイスを依頼します。

ガーバーは、どうしようか悩むものの、もう一度、ゼロからサラのような起業家に対して何を提供すれば良いのかを考えるためにサラの依頼を受けることになります。

 

(引用)私たちが指摘するべきだったのは、顧客(ガーバーの顧客=経営者)のビジネスに欠けているものではなく、顧客自身に欠けているものだったのだ。ビジネスのために働くのはやめよう、と呼びかけながらも、私たち自身もまた、顧客のビジネスのために働いていたのである。

→ビジネスオーナーが変わらない限り、ビジネスは決して変わることはない、とガーバーは言っています。

サラとの再会で、ガーバーが感じたのはまさにそれでした。

仕組み化の方法論を提供しても、経営者に起業家的な視点が欠けていたり、ビジネスに対する情熱が欠けていたりしては、結局ビジネスが長続きしないということなのです。

サラは自社「オールアバウト・パイ」への情熱を失いつつあり、どうすればよいのか悩みガーバーに会いに来たのです。
我々もガーバーほどの年月ではありませんが、日本で彼の思想を伝えてきて感じるのがまさにこの点です。

ここでいう”顧客自身に欠けているもの”というのは、経営者の人生における情熱であり、目的です。

ビジネスの前に、経営者自身の人生が大事です。

人生の情熱や目的が何なのかを発見できるまでは、先に進めないのです。

 

(引用)退屈で長続きしないビジネスが作られるのをたくさん見てきた。起業家的な情熱を見つけられない経営者は、起業家的な情熱を持たないままの状態で、マニュアルやシステムやトレーニングプログラムを作るからなんだ

→仕組み化したい、と言ってこられる経営者の中には、すでに長年経営をされてきて今のビジネスに疲れ切っているようにみえる方もいらっしゃいます。

先ほど言った通り、今のビジネスに情熱を失っている場合が多く、とにかく仕組み化して自由になりたい、ということなのです。

実際のところ、マニュアル作りなどは技術的な話なので、そのような状態でも出来なくはありません。

しかし、ここに書いてある通り、経営者がその状態では、大して役に立たないマニュアルができるだけです。

いまの会社(ガーバーの言う「古い会社」)に情熱を失っている経営者は、まずゼロから考え直し、自分にとっての「新しい会社」とは何なのかを創造しなくてはいけません。

「新しい会社」への情熱が経営者をもう一度、起業家的に動かす原動力になります。

新しい会社と古い会社についてはこちらの記事をご参照ください。
http://blog.entre-s.com/704

 

(引用)起業家は作業に対して情熱的ではない。作業とは新しいものを発見するためのものではなく、何かを完成させるためのものである。作業が重要ではない、ということではない。作業は終わらせるべきである。しかし、作業を終わらせることは、創造ではない。作業では、結果を予想することができる。起業家は結果を予想して仕事に取り掛かるわけではない。起業家は創造するために取り掛かるのである。

→”作業”をするのは、経営者の中の「職人の人格」です。

会社が小さければ、もちろん、経営者もこの作業をする割合が増えます。しかし、会社が成長するに従い、作業をすることから手を放し、創造する仕事へと移らなくてはなりません。

実際、仕組み化にある程度成功してくると、経営者には時間のゆとりができます。

その時間のゆとりをどう使うかが大事です。

職人気質が抜けない経営者は、作業をしていないと不安になってしまいます。そして、本来、社員がやるべき仕事も奪って、自分でやってしまいます。

そうなると人が育たず、成長にも限界が生まれてきます。

だからまず経営者は、時間のゆとりがある、という状態に慣れる必要があります。

私の知り合いの経営者は、ある時から、午前中は会社に行かないことに決めました。強制的に作業をしない時間を作ったのです。

そして、午前中を先ほどの”新しい会社”の創造に使った結果、いまでは午前中どころか、ほとんど出社しなくても会社が成長するようになったのです。

では本日は以上となります。

次回も楽しみにしていてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。