起業家精神に火をつけろ!」を読み解く その9.財務を学ぶ


今日のテーマは、苦手意識を持っている経営者も多いかも知れません。

「ルール3.財務を学ぶ」です。

 

(引用)スモールビジネスの経営者は、常にお金のことを考えているか、お金について考えることから逃げているかのいずれかである。もっと良いお金との付き合い方があるはずである。

⇒お金に対する価値観は、人それぞれです。

スモールビジネス経営者の中で、意外と多いのは「修道士」と私たちが呼んでいるタイプです。

修道士はお金とはなるべく関わりたくないと思っている人たちです

会計士や担当者に財務・経理を任せて放ったらかしにしていたり、良い仕事をすればお金はあとから付いてくると自分に言い聞かせており、お金について考えないことが美徳だと信じています。

本章の中では、ガーバーが財務面を共同創業者に任せって切りにしていたために起こったトラブルについて記載されています。

当時のガーバーは、修道士タイプだったのかも知れません。

会社が初期の頃は修道士タイプでも生き残れますが、規模が拡大していくにつれ、お金の現実と向き合うことが求められます。

そこから逃げていると、全く儲かっていない事業に投資をしていたり、実際には赤字事業であることに気が付かなかったり、本来得られるべきキャッシュフローを逃していたり、と非常に大きな壁に突き当たることになります

お金のことを気にしすぎてもダメですが、かといって修道士のままでも問題があります。

 

(引用)私たちは意識しないうちにも、自分たちの人生、ビジョン、目標を実現可能なものへと縮小してしまう。それに合わせて、財務的な目標も前例を参考にして、縮小してしまう。

⇒いわゆるスモールビジネスオーナーと起業家は、財務に対する考え方がまるで違います。

スモールビジネスオーナーは、会社のお金と個人的なお金の区別があいまいで、財務状況を社員に対して共有することにも抵抗しがちです。

そこそこ売上が上がってくると、自分の収入も安定してくるため、この引用文にあるように積極的な財務戦略をとることがありません。また借り入れにも消極的になりがちです。

一方、起業家はお金は会社を成長させるために活用しないといけない資源と考えており、積極的にお金を循環させようとします。

お金は天下の回りもの、という日本の言葉もありますが、起業家はまさにそういった考えの持ち主で、ビジョン追求のために必要な資金を積極的に外部から調達し、それ以上の価値を世の中に提供します。

 

(引用)経営者として私は、お金には絶え間ない注意が必要であることを学んだ。毎日、いや毎時間注意を配るべきである。

⇒最近は中小・スモールビジネスでも日次決算をしている会社も増えています。社会が動くスピードが上がっているので、財務上の判断もスピードを上げてやっていく必要があります。

いまでは現場と会計を連携できるクラウドツールも普及していますので、そういったツールも積極的に活用すべきと言えるでしょう。

 

(引用)財務の責任者である共同経営者に、僕は最高経営責任者としての責任もゆだねてしまった。

⇒先ほど言った通り、ガーバーは本章の中で、財務面を共同創業者に任せって切りにしていたために起こったトラブルについて記載しています。

これも中小・スモールビジネス経営者に非常に多い失敗パターンです。

”右腕に任せてるから”

”彼が上手くやってくれているから”

というのは一見すると理想的に思えますし、人を使うことが上手い経営者、とみなされることもあるでしょう。

しかし、その実態は、特定の人物に依存してしまっている職人型ビジネスです。

現実を把握する仕組みがないままに、人を信じ切ってしまい、大きなトラブルに陥ります。

ひどい場合だと、信じていた人にお金を持ち逃げされたりします。

この引用文にある通り、「作業」を任せるのと、「責任」を任せるのは大きく違います。

少なくとも財務においては、「責任」は最後まで経営者が持っているべきものと言えるでしょう。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。