「起業家精神に火をつけろ!」を読み解く その10. マネジメントを学ぶ


本日も「起業家精神に火をつけろ!」の中から、「ルール4.マネジメントを学ぶ」のレビューをお届けします。

 

(引用)重要な通過点を経験したときに持つ感情は、将来への期待の持ち方に影響を与える。失望を感じることが多いのであれば、これからも失望を感じることになるだろう。一方で、感動することが多いのであれば、これからも感動し続けるだろう。(中略)リーダーの役割は、組織の思考パターンを平凡なものからワールドクラスに飛躍させることにあるんだ。

⇒運が良い人は、何が起きても運が良いと感じ、運が悪い人は何が起きても運が悪いと感じる、といわれています。

それが行動にも影響を与えて、人生の結果にも影響が与えます。

私たちは、会社もそれ自体が生き物のようなものであり、独自の人格を持っているとお伝えしています。

それを考えると、会社に何か起こった時にどう反応するかは、過去、似たような出来事にどのように反応してきたか?によって決まります。

それがここで言っている組織の思考パターンです。

より一般的な言葉でいえば、「企業文化」と呼べるかもしれません。

企業文化というのは、職場がアットホームであるとか、家族的な雰囲気であるとか、そういったことではありません。それはそれで重要ですが、企業文化はもう少し深いレベルの話で、意思決定をどのように行うか?ということに影響します。

企業文化のベースにあるのは、創業者がそれまでの人生で培った個人的な価値観や信条です。

ガーバーはこの本の中で、企業文化という言葉を使ってはいません。

しかし、本章の内容からすると、経営者の重要な役割のひとつは、企業文化をいかにして自社にとって好ましいものへと変革させていくか?であると言っていいでしょう。

ちなみに企業文化については、私が昔勉強会で使った資料がこちらにアップしてありますので、ご興味ある方はご覧ください。
https://www.slideshare.net/shimizunaokiex/ss-62010981

 

(引用)イノベーションとマニュアル化が異質なもので、相いれないと決めつけるのは簡単なことさ。誰もが同じ結果が得られるようなマニュアルを創れば、私たちは創造力を失ってしまうかも知れない。しかし、イノベーションとマニュアル化が両立可能だとすれば、どうだろう?

⇒ガーバーが提供している重要なコンセプトの一つが、

「数値化」⇒「イノベーション」⇒「組織化(マニュアル化)」⇒「数値化」⇒「イノベーション」⇒・・・

という事業開発サイクルと呼ばれるものです。

この引用文にあるように、仕事のマニュアル化だけでは不十分で、その効果を図る仕組み(数値化)、結果を改善する仕組み(イノベーション)が必要になります。

マニュアル化だけに重点が置かれると、いわゆる官僚型の企業文化になります。

一方で、事業開発サイクルを回せるようになれば、”整っていながらも創造力の発揮できる組織”が出来ます。

そのような組織は市場で競争優位性が高いだけではなく、働いている社員にとっても仕事の工夫の余地が生まれ、働き甲斐のある組織になります。

 

(引用)どのような会社であっても、社会が大きく変化して、存在意義を失い、顧客の要望にこたえられなくなる時は来るものさ。それを予め予想して、新しい会社 – 起業家としての第二の人生の始まり – の準備を進めなきゃならないんだ。

⇒この一文は、本書の中で私が最も好き、かついつも念頭においているものです。

本当の起業家は常に、既に利益を上げている事業(古い会社)を仕組み化して整えると同時に、新しい事業(新しい会社)を創造していきます。

ニトリ創業者の似鳥さんも次のような言葉で同じことを表現されています。

”事業環境の変化を予測し、正しい計画を立てられるかどうかが、会社の運命を決めます。”

私たちも、お客様と一緒に年間計画を創るときには、自社の周りで、どんな環境の変化があるかを検討するところから始めていきます。

環境変化を考慮していない計画は自己中心的であり、無意味だからです。

 

(引用)もし、オールアバウトパイをもう一度やり直すことになった時、守り続けたいと思う聖域はあるだろうか?もし聖域があるとすれば、それはワールドクラスの企業になるために役立つものだろうか?

⇒私が初めてガーバーと出会い、初めて彼の講義を受けた時、最初に言われたのが、

”Blank piece of paper and beginner’s mind(真っ白な紙と初心者の心)”で取り組め

ということでした。

これは禅の思想にも通じるものです。

当時はいまいち意味がわかりませんでしたが、今ではわかります。

職人型ビジネスから起業家型ビジネスへと変革するためには、自分の人生を白紙の状態、初心者の心で見つめ直し、ビジネスを再創造しないといけないことがあります。

自分の凝り固まった価値観や習慣がビジネス変革の妨げになっていることが良くあるからです。

本書の中で、ガーバーがサラに問いかけたように、次の2つの質問、

・もう一度いまのビジネスをやり直すことになった時、守り続けたいと思う聖域はあるだろうか?
・もし聖域があるとすれば、それはワールドクラスの企業になるために役立つものだろうか?

をぜひ考えてみてください。

次回は「ルール5.顧客満足を学ぶ」に進んでいきます。

こちらも楽しみにしていてください。

清水直樹

清水直樹

一般財団法人日本アントレプレナー学会代表理事 大学卒業後、マイクロソフト日本法人に入社。その後独立し、海外不動産の紹介会社を起業した後、携帯電話普及の波に乗る形で、モバイルコマース事業の創業メンバーとして参加。上場を目指すが経営メンバー同士の空中分解によって頓挫。その後、海外の経営ノウハウをリサーチし続け、2011年に世界No.1のスモールビジネスの権威、マイケルE.ガーバーと出会う。同氏の日本におけるマスター・ライセンシーとなり、2013年には日本初のE-Myth社認定コーチ(E-Myth社はマイケルE.ガーバーが創った世界初の中小企業向けビジネスコーチング会社)になる。現在は、日本の中小企業がワールドクラスカンパニーになるための支援活動に力を注いでいる。