今日、京セラフィロソフィを読み進めた。テーマは「信頼関係を築く」ことだ。組織の全員が心を開き、結びつきを強めるためには、お互いが本音を語り合える環境が不可欠である。そのためにコンパや旅行といった場を通じて「まず相手を知る」ことが重要視されていた。これは現代の「心理的安全性の高いチーム」の構築に通じる。

この教えに触れ、いくつかの記憶が呼び起こされた。一つは「上三年にして下を知り、下三日にして上を知る」という格言だ。リーダーが部下の本質を掴むには時間がかかるが、部下はリーダーが何者であるかをわずか三日で完全に見抜いているという。

また、25歳で初めて管理職になった際の苦い経験も蘇った。部下の生活環境を整える「インターネットの手続き」という事務作業を、私は本社の責任として放置した。その結果、部下からの信頼は瞬時に崩れ去った。

さらに、以前オブザーバーとして参加した盛和塾の機関誌を指針とする企業の会議も思い出した。そこでは先輩社員が後輩を外部の私の前で厳しく叱責していた。当時は「厳しい」としか感じなかったが、今ならそれが「言うべきことを言う」という高い次元の信頼に基づいた文化だと理解できる。

暗黙の期待(約束)

京セラフィロソフィを読み込み、かつての自分の甘さが浮き彫りになった。25歳の時の私は、手続きの遅れを「システムの不備」だと思い込んでいた。しかし、本当の要因は、部下から見た私への「暗黙の期待(約束)」を裏切ったという事実にある。部下にとって、リーダーとは「自分たちが仕事に集中できる環境を死守してくれる存在」であり、その期待に応えないことは、言葉に出さない契約違反に等しいのだ。

また、「上三年にして下を知り、下三日にして上を知る」という言葉が、今の自分に重くのしかかる。相手を知ることに三年もかけていては、適切な指導も信頼構築も間に合わない。社内のメンバーはもちろん、認定コーチや認定パートナーの方々のことも、通り一遍の理解ではなく、もっと深いレベルで「知る」努力が不足していたのではないか。

相手を深く知らなければ、相手が私に何を期待しているのか(暗黙の約束)を察知することもできない。その無知こそが、信頼を損なう最大の要因となる。

小さな約束の積み重ね

信頼関係とは、明文化された契約書で決まるものではない。それは「小さな約束の積み重ね」という目に見えないレンガによって築かれる。

特にリーダーにとっての約束には、口に出したことだけでなく、「相手が自分に対して抱いている暗黙の期待」も含まれる。この期待に応え続けることが、信頼というダムの決壊を防ぐ唯一の方法だ。

そして、その「期待」を正しく捉えるためには、相手を深く知ることが大前提となる。相手の価値観や背景を深く理解することで、ようやく「三年にして下を知る」という時間の壁を突破し、真の心理的安全性を築くことができるのだ。

比喩的に言えば、信頼とは「透明な貯金箱」のようなものだ。相手を深く知り、小さな誠実さを入れるたびに中身が見え、安心感が増すが、一度でも怠慢という名の「ひび」が入れば、どれだけ大きな言葉を注いでも中身は漏れ出していく。

指針(Next Action)

明日から、以下の二点を自分への誓いとする。

第一に、どんなに瑣末に見える事務連絡や依頼であっても、それを「誰かの責任」にせず、完遂するまで自分の責任として見届ける。「小さな約束」を疎かにする自分を、相手は三日で見抜くと心得よ。

第二に、社内メンバー、認定コーチ、認定パートナーといった、共に働くすべての人たちを「より深く知る」ことに時間とエネルギーを割く。相手の人間性や想いを知ることで、自分が果たすべき「暗黙の期待」を察知し、それに応える。そして、耳に痛い言葉を飲み込もうとした瞬間、それは信頼を放棄しているのと同じだと自覚し、誠実な本音を語る勇気を持つ。

投稿者 naokish

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