今日も「京セラフィロソフィ」を読み進めた。テーマは「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」。 これは稲盛和夫氏の言葉の中でも特に有名な一節だが、今回はこれを自分自身のマインドセットとしてだけでなく、「人材配置(チームビルディング)」の戦術として読み解いた。
新しいプロジェクトを立ち上げる際、最初から頭のいい「賢者」ばかりを集めると、構想段階でリスクばかりが見えてしまい、一歩も進めなくなる。 だから、構想段階ではあえて「お調子者」を周りに置く。しかし、そのまま突き進めば事故になるため、計画段階では一転して「心配性な賢者」に入れ替え、徹底的にリスクを洗い出す。そして最後の実行段階では、再び「楽観的な突撃隊長」に旗を振らせる。
かつての京セラも、技術や体制が整っていない段階で「できます」と大ボラを吹き、受注してから死に物狂いで開発して間に合わせたという。この「嘘を真実にする」プロセスこそが、発展の原動力だったと記されていた。
マイクロソフトのDNAと重なる「見切り発車」
この京セラのエピソードを読んだ時、私の脳裏にはマイクロソフト時代の記憶、とりわけビル・ゲイツの伝説的な逸話がフラッシュバックした。 彼がIBMと契約した際、手元にWindows(当時はMS-DOSの前身)なんて影も形もなかったにもかかわらず、「OSを用意できる」と売り込んだ話だ。契約を取り付けてから、慌てて他者が作ったOSを買い取り、それをIBM用に仕立て上げた。
マイクロソフト出身の私が、ことあるごとに引用するこのエピソードと、稲盛氏の「大ボラ」は完全にリンクしている。 成功する組織や個人に共通するのは、「能力があるからやる」のではなく、「やるというか・ら能力がつく」という逆説的な順序だ。 準備が整うのを待っていたら、チャンスは永遠に逃げていく。まずは「旗」を立ててしまうこと。その旗の重圧こそが、不可能を可能にするエネルギーに変換されるのだと再認識した。
未経験案件は「プロトタイプ開発」の機会
私自身を振り返ってみると、研修や講演の依頼に対して、たとえ経験のないテーマであっても「できます」と即答するようにしている。 これは単なる無鉄砲ではない。自分の中に明確な論理がある。 「未経験のテーマ=自分にとっての新しい学習機会」であり、さらに言えば「一社が抱える悩みは、他社も抱えている可能性が高い」からだ。
つまり、クライアントから対価をいただきながら、自分自身の新しい「商品(研修プログラム)」を開発させてもらっていることになる。 このサイクルを回すことで、私のスキルセットは拡張され続け、提供できる価値の幅が広がる。 「ハッタリ」とは、嘘をつくことではない。「未来の自分への発注」である。 今の自分にはできなくても、納期までの自分がなんとかする。その「未来の自分」を信じる力が、成長のエンジンなのだ。
「できます」の一言で退路を断つ
これからも、未知の案件、未経験の領域に対して、怯むことなく「できます」と答え続ける。 守りに入り、手持ちのカードだけで勝負しようとした瞬間、私の成長は止まるだろう。 「楽観的に引き受け(構想)、悲観的に準備し(計画)、堂々と提供する(実行)」。 このサイクルを回し続け、常に自分のキャパシティを少しだけ超えた場所に身を置き続けることを、ここに誓う。
